
<真夏のライラック:横浜隼人・葛西拓海投手(3年)>
<高校野球神奈川大会:立花学園9-2横浜隼人>◇20日◇5回戦◇横浜スタジアム
甲子園には届かなかったが、悔いは残さなかった。
横浜隼人・葛西拓海投手(3年)は、投手キャプテンとして最後の夏に挑んだ。登板は2回戦の1度のみだったが、投手陣を中心に声をかけ、最後までチームを鼓舞し続けた。
父靖宏さんが昨年12月に、母美耶さんが今年4月に、立て続けにがんで亡くなった。葛西は「つらい気持ちは今も取れない。写真を見るとさみしくなる」と話す。それでも「部活に行くと1人じゃない」と練習を欠かさず。仲間から心配されることもあったが「空から見守られているということは、隠れることはできない」。妥協は許さず、逆にやる気が上がった。
野球に打ち込んだ3年間を振り返り「完全燃焼。やってきたことは出し切れた」とすっきりした表情で話した。「最後の大会を見せることはできなかったが、両親が一番の支えだった。帰ったら、写真の前で感謝を伝えたい」。
投手キャプテンの姿を見た水谷哲也監督(60)が人間力を高く評価し、今後は大学野球でマネジャーを目指す。逆境を跳ね返して強くなっていく姿を、両親もきっと見ている。【寺本吏輝】