
<高校野球和歌山大会:市和歌山5-2桐蔭>◇20日◇3回戦◇紀三井寺公園野球場
チームを引っ張る主将として、打線の核を担う4番打者として、強力投手陣を支える女房役として、市和歌山の中心には川辺謙信捕手(3年)がいる。この日も苦しい場面でチームを盛り立てたのは、川辺だった。
先制された場面で、すかさず先発の土井源士郎投手(3年)のもとへ駆け寄り「1点はOKだから、大丈夫」と笑顔で気持ちを落ち着かせた。4打数4安打1四球と全ての打席で出塁し、好機を演出し続けた。
2点差に詰められ、流れが相手に傾きかけたときも冷静にナインを鼓舞した。
半田真一監督(45)は「主将として、自身がチームの雰囲気を決めることを自覚できている。捕手としても苦しい場面をずっと支えてくれていたね」と働きぶりをたたえた。
1年から試合に出続け、昨夏はまさかの初戦敗退も経験。高校野球の怖さは誰よりも知っている。「1点の重みを大切に、4番としてチャンスで1本打ってチームを勝たせられるようにしたい。キャッチャーとしては自分の長所であるリード面で投手陣を引っ張っていきたい。その上でキャプテンとして、常に冷静にチームの雰囲気に気を配りたい」と、チームのために自らの役割を全力で果たす。
苦汁をなめた昨夏、智弁和歌山に差を見せつけられた昨秋、王者・横浜に一歩及ばなかった今春。全ての敗戦を越えて、川辺が今夏のヒーローに成り上がる。【一 樹】