＜第107回全国高校野球静岡大会＞◇20日◇3回戦8試合◇ちゅ～るスタジアム清水ほか
シード校の東海大静岡翔洋が4－3で常葉大橘に逆転勝ちした。4番大村泰輝内野手（3年）が8回に同点打。さらに決勝のホームにも生還するなど走塁でも輝きを放ち、チームを勝利に導いた。今春準Vでシード校の桐陽は、浜北西に12－0の5回コールド。公式戦初先発の袴田大駕投手（2年）が、4回2安打無四球無失点と好投した。8強進出を懸けた4回戦8試合は、22日に行われる。
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東海大静岡翔洋の大村が逆転劇の主役になった。まずはバットで貢献…する前に、相手エース秋山との対戦に胸を躍らせていた。「ピッチャーのレベルが上がると燃えるタイプなんです」。1点を追う8回1死二塁。不敵な笑みを浮かべながら打席に立つと、内角の直球を捉え、左前に同点タイムリー。体が反り返るほどの派手な雄たけびで喜びを爆発させた。
それ以上の、最大の見せ場は直後のプレーだった。50メートル6秒1の俊足を生かし、二盗に成功。2死二塁のチャンスをつくると、平野天磨外野手（3年）の左前打で本塁に突進した。「あそこで還らなければ負けると思った」。タイミングはアウトだったが、わずかに送球がそれた相手のミスを見逃さなかった。捕手のタッチを巧みなステップでかわし、回り込みながら本塁にヘッドスライディング。右手1本で決勝のホームに生還し「うれしくて気絶しちゃいそうになりました」と白い歯を見せた。
185センチ、88キロと大柄ながら軽快な身のこなし。バットと足で貢献した主軸を、森下倫明監督（60）も「彼の野性的本能だと思う。大村の走塁を褒めたい」と手放しでたたえた。試合前夜には、決勝打を放った平野と2人で相手のエース秋山の映像を見ながら素振りをしていたという。「2人で試合を決めよう、という話をしていた。そうなれて良かった」。仲間との約束も果たした。
8強入りを懸けた4回戦は、今春センバツ出場の常葉大菊川と激突する。昨秋は準決勝で敗戦。今春も県大会3回戦で敗れているだけに、リベンジの思いが強い。大村は「負けた2試合は自分がチャンスで打てなかった。次、勝てばもっと勢いに乗れる」と言った。因縁の相手と今季3度目の対戦。伝統の縦じまの誇りを胸に雪辱する。【神谷亮磨】
