
元レスリング世界女王で、パドレスのダルビッシュ有投手(38)の妻聖子さん(44)が19日(日本時間20日)、18日に44歳で急逝した小原日登美さんをインスタグラムで悼んだ。
小原さんはレスリング女子で12年ロンドン五輪(オリンピック)48キロ級の金メダリスト。聖子さんは小原さんと映る集合写真をアップし「この時代をあなたと駆け抜けたこと忘れないよ。サイボーグと言われたあなたのレスリングも。あなたが何度挫折しても私の夢であるオリンピックで金メダルをとった事、心から誇りに思ってた。安らかにね ご家族の皆さまに愛を」とつづった。
聖子さんと小原さんは同い年。聖子さんはレスリング世界選手権などで金メダルを獲得した。
小原さんは青森・八戸工大一高から中京女子大(現・至学館大)をへて2000、01年に世界選手権で優勝。ただ、非五輪階級の51キロ級だったため55キロ級に上げて04年アテネ五輪を目指したが、吉田沙保里に敗れて出場はかなわなかった。
08年北京五輪も逃して1度は引退したが、ロンドン大会を目指して48キロ級で復帰。31歳で悲願の初出場を果たし、金メダルを獲得した。
10年に同郷出身で1歳下のレスリング社会人王者、康司さんと結婚。14年に第1子、16年に第2子を出産した2児の母でもあった。旧姓は坂本で、妹の真喜子さんもレスリング選手として活躍した。
現役時代から自衛官アスリートとして活躍。うつ病、一時は体重が階級のほぼ倍となる80キロまで増えたほどの過食症と、そこからの減量に苦しんだ。幾多の困難を乗り越え、ロンドン五輪で日本勢に階級初の優勝をもたらし、引退した。自国開催となった21年東京五輪に向けては、自衛隊体育学校レスリング班の女子ヘッドコーチとして後進の指導に当たっていた。
恩師で至学館大の栄和人前監督(65)は「つらくてつらくて涙が止まらない。天才レスラーだった。とにかく努力家で責任感も強かった。これからだったのに。レスリングの申し子が…今でも信じられない」と現実味がわかない様子だった。
世界選手権は8度の優勝を誇り、日本レスリング協会の理事も務め、昨年末の理事会では次回ロス五輪に向けた代表スタッフ入りも決定。五輪4連覇の伊調馨さん(ALSOK)とともに女子日本代表のコーチに名を連ねていた。
◆小原日登美(おばら・ひとみ)旧姓坂本。1981年(昭56)1月4日、青森県八戸市生まれ。八戸工大一高から中京女子大(現・至学館大)に進み、栄和人氏の指導を受けて成長した。04年アテネ五輪出場を逃した後、翌05年に自衛隊体育学校へ。ロンドン五輪の金メダルを獲得後に現役引退。出産、育児を経て育成に尽力していた。