
オールスターゲームも終わり、シーズンは後半戦に突入しました。いよいよ、ペナントレースが終盤に向けてヤマ場を迎えます。見どころをお伝えします。
ドジャースは、2位パドレスに5・5ゲーム差を付けて前半戦折り返しました。しかし、4年連続地区優勝へ向けて、まだまだ安泰とは言えません。と言うのも、後半戦65試合のうちホーム31試合よりロードが34試合と多く、さらに勝率5割以上のチームと40試合も残しているからです。
最大の注目は、同じナ・リーグ西地区のライバル対決です。8月15~17日、同22~24日のパドレス戦。それと9月12~14日、同18~21日のジャイアンツ戦。いずれも2週連続した、いわゆる「バック・トゥー・バック・シリーズ」で、勝ち越せるかが優勝のカギとなりそうです。
そんな中、投打二刀流復活で大谷翔平投手がどんな活躍を見せるか? まず、投手では6月16日の復帰以来オープナーとして起用され、前半戦最後の7月12日ジャイアンツ戦では最長3イニング、合計36球を投げました。このままいけば、先発投手として5イニング以上も十分に投げられそうです。
ただし、先日エンゼルス時代の監督、ジョー・マドン氏がMLBの専門番組で「今後イニング数よりも球数にもっと注意を払うべき。例えば、上限を75球程度に設定する」という起用法についての発言に、思わず膝をたたきました。
確かに、最大目標である2年連続世界一を目指す上で最も重要なのは、いかに10月のポストシーズンで最大限の力を発揮するかです。既にデーブ・ロバーツ監督はワールドシリーズ最終戦、9回最後のマウンドを大谷に託すという最高のシナリオを考えていると思います。
それと後半戦も不動の1番打者としての期待があります。中でも、最大の注目は前半戦リーグトップの32本を打ったホームラン。このペースでいくと53本となり、3年連続タイトル獲得は有力と見ていいでしょう。さらに昨年の自己最多を上回る55本、夢の60本にも期待したくなります。
ところで地区優勝、さらにワールドシリーズ連覇を成し遂げるには、大谷だけでなく、山本由伸、佐々木朗希両投手の活躍にも期待したいところです。特に、今季初の開幕投手を務めた山本は、先発投手陣の中で唯一ローテーションを守り、名実共にエースとしてチームをけん引しているからです。
山本は前半戦を振り返って「好不調の波を少なく完走することを目標に設定している」と言い、後半戦のテーマは安定感にあります。それは過去2年間チームに1人もいなかった162イニングの規定投球回を意味し、それに到達した投手の多さが優勝のバロメーターになっているからです。
一方、先日ロバーツ監督は佐々木の復帰について「8月下旬あたり」とコメント。それでピンと来たのは、佐々木を秘密兵器としてひそかに期待している気がしました。なぜなら、近年メジャーではシーズン終盤に剛腕ルーキーを救援投手として起用。彼らが大車輪の活躍を見せて、チームの優勝に大きく貢献しているからです。02年のエンゼルスでは、球団史上初の世界一に貢献した「Kロッド」ことフランシスコ・ロドリゲス。08年レイズには、初のリーグ優勝に貢献した前年ドラフト全体1位の剛腕デビッド・プライスがいました。
最後に今季ドジャースにとって、もう1つ大きな目標があります。球団史上初のホーム観客動員数400万人突破です。前半戦ドジャースはホーム50試合で253万1253人を動員。このペースで行くと、最終的に約410万人となります。
そのチーム優勝、観客動員数ともカギを握るのは言うまでもなく、メジャーNo.1の人気と実力を誇る大谷翔平。前人未到の60本塁打、観客動員数400万人の、いわゆる「60-400」に期待しながら、シーズン後半戦もペナントを懸けた熱き戦いに注目したいと思います。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)