
<ソフトバンク10-2ロッテ>◇15日◇みずほペイペイドーム
ソフトバンク4年目の山本恵大外野手(25)がプロ1号を逆転決勝3ランで飾り、10得点大勝&2連勝を導いた。1点を追う3回2死一、二塁。ロッテ先発ボスのストレートを逆方向の左翼ホームランテラスに運んだ。1軍37打席目。4月12日に支配下登録を勝ち取った左の大砲候補が、値千金の放物線を描いた。この1勝でソフトバンクとして通算1600勝に到達。試合のなかった首位日本ハムに2・5ゲーム差と迫った。
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山本は全力疾走しながら、着弾を確認した。本拠地で割れんばかりの大歓声を受け「すごいですね。鳥肌が立つというか」と感激。直後に右翼守備に就く際には右翼スタンドから山本コールを受けた。「あんなに応援されたことないです」。初々しく照れた背番号77の新星が、10得点大勝を導くラッキーボーイになった。
1-2の3回2死一、二塁。ボスの直球を逆方向の左翼テラスに運んだ。1軍37打席目。今年結婚し、夫人も駆けつけた一戦で、待望の初アーチが生まれた。お立ち台で「奥さんも来ている前で打ててうれしかったです」と明かすと、再びみずほペイペイドームは大歓声。柳田の故障もあって4月12日に支配下登録を勝ち取った左の大砲候補が、値千金の放物線で応えた。
ヤクルトや巨人の主砲として活躍したロベルト・ペタジーニを想起させる打撃フォーム。右足を開きつつバットを低く構え、小久保監督も「打ち方はずっとペタジーニみたい」と話してきた。山本は「力が入らないように自然体で構えるようになったらペタジーニになっていました」と原点を明かす。「もともと大学の時は(バットを)高い位置で構えていた。それだと力んでしまうので」。プロ入り後に着手した脱力打法が奏功し、夢のプロ初本塁打をこれ以上ない場面でかっ飛ばした。
小久保監督が2軍監督1年目だった22年入団した生粋の“小久保チルドレン”。実は幼いころに参加した野球イベントで、現役だった指揮官と写真を撮った。小久保監督は覚えていなかったが「小学校から知っている…、とは言えないけど証拠写真が残っているのでね」と苦笑い。25歳の活躍に「2軍にいる(笹川)吉康とか秋広はうかうかしていられない。それが底上げ、活性化につながる」とうれしそうにうなずいた。
この日試合のなかった首位日本ハムに、じわり2・5ゲーム差。球団名がソフトバンクに変わって通算1600勝に到達した。節目を飾った新星のメモリアルアーチで2連勝。波に乗っていく。【只松憲】
◆山本恵大(やまもと・けいた)1999年(平11)8月6日生まれ、東京都小金井市出身。国士舘(東京)では甲子園出場なし。明星大では通算25本塁打を放ち、21年育成ドラフト9位でソフトバンク入団。23年9月に左膝の手術を受けたが、24年はファームの非公式戦で打率3割6分5厘、3本塁打、36打点をマークした。今年4月12日に支配下登録。183センチ、86キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は750万円。