
<高校野球神奈川大会:横浜16-0荏田>◇11日◇2回戦◇サーティーフォー保土ケ谷
「横浜の鉄三郎」が神奈川の夏を熱くする。春夏連覇を狙う横浜の戦いは、スーパー1年生左腕・小林鉄三郎投手の快投で幕を開けた。神奈川大会初戦の荏田戦に先発し、4回3安打無失点で毎回の7奪三振。7回コールドで勝利に導き、早くもチームの戦力に。先輩たちとともに、3年ぶりの優勝を目指す。
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横浜にスーパーヒーロー登場だ。小林は夏の初戦を任された緊張も、初回に先輩たちが6点を取ってくれると消えた。「緊張がとけて、マウンドに上がることができました」と、堂々と伸びのある真っすぐとチェンジアップで思いのままに打ち取った。「今日はいいテンポで投げられました。大舞台を任せてもらってうれしかったです」と強心臓ぶりも発揮した。
大きな夢に向かって走り続けている。4歳で野球を始めた頃に掲げた夢はプロ野球選手になること。幼稚園時、七夕の短冊にも『てつはプロやきゅうせんしゅになりたいです。てつさぶろう』と願いを記した。母香織さんは「小さい頃から野球ばかり。小学生のときも、毎日、毎朝、自分の試合や練習のビデオを見てから学校に行く子でした」と、野球一筋の幼少時を振り返る。横浜進学も「一番成長できる場所だと思ったから」(小林)と、その視線の先には常に夢のプロ野球があった。
芯の通った生き方は「鉄三郎」の名前そのものだ。その由来は、父・雄之さんが大好きな池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」の主人公・長谷川平蔵の幼名から名付けられた。「正義感にあふれる、芯のある男になって欲しくて」と母香織さん。時代を超え、どんな場面でも救ってくれるスーパーヒーローの予感がたっぷり。小林は「今夏の目標は先輩たちと一緒に神奈川を制覇して春夏連覇することです」と誓った。横浜に大きな戦力が加わった。【保坂淑子】