
<明治安田J1:東京V1-0川崎F>◇29日◇第22節◇味スタ
東京ヴェルディが4試合ぶりの勝利を挙げた。
川崎フロンターレを相手に前半32分、森田のCKからニアサイドでDF谷口が頭ですらし、ファーサイドへ飛び込んだDF深澤が右足で押し込んだ。
この1点をチーム全員がコンパクトな陣形で中を閉じ、クロスボールにはDF綱島、谷口らが粘り強くはね返し、GKマテウスが安定感あふれるキャッチでしのいだ。
城福監督は「サポーターに本当に悔しい思いをさせてしまってました。彼らと一緒に試合後に喜び会えるっていうのは、いかに我々にとって大事なことかというのを再認識できた」と喜びに浸った。
リーグ戦は直近2連敗で、ルヴァンカップで柏に2連敗したことも含め、6月は勝てず苦しい時期だった。この川崎フロンターレ戦は本来の自分たちのプレーをすることを誓って臨んだ。
「勇気を持ってつなぐことをやった。取られた後のリカバリーパワー(※ボール奪取)は我々がつなごうとするからこそ発揮されるのであって、怖がって蹴ったところで我々のリカバリーパワーは出せないので、我々らしくやろうと。その代わり出し切って、しっかり(交代出場する選手に)バトンを渡していこうと確認しました。今日出た選手は本当にバトンを渡す側も受ける側も戦ってくれたと思います。フィニッシュのところの精度、タイミングも含めての精度でスルーパスを通しきれなくて、決定機の前で阻止されたところも含めて、ポジティブに反省できる。辛抱強く守りながら後半も決定機を作れたので、トータルでポジティブに反省、振り返られることができる」と試合を総括した。
会見中、話題として上がったのがキックオフの場面。東京Vの選手たちはハーフウェーライン付近にフィールドプレーヤー全員が並ぶ、従来にはない奇策で始めた。キッカーを務めた谷口は勢い良く、低い弾道のシュート性のボールを右方向へ蹴ったが、そのままゴールラインを割った。
誰もが頭の中に「?」を浮かべたシーン。
これについて問われた城福監督は「技術ミスです。本来の我々のキックオフとは違うやり方をしたいとロッカールームで選手が言ってきたんです。それを尊重しました。でも単純なミス。ただ選手たちが違うやり方をしたいと言ってきたのはうれしかった。わざと相手に渡したわけでなく、キックミスでした」と苦笑した。
選手によると、右のコーナー付近のサイドライン際に蹴り出し、相手スローインに激しくプレスをかける即時奪回からゴールへ向かおうとする作戦だったようだ。
谷口のキックはサイドラインでなく、ゴールラインをそのまま割ってしまい、相手のゴールキックとなっていた。
そういう話を報道陣と笑い合えるほど和やかな雰囲気。川崎FというJリーグを代表する強豪クラブに勝ったのはリーグ戦では実に2000年以来、25年ぶり。狙い通りの攻守で1-0と競り勝った充実感は、大きいものだった。