
<中日1-2広島>◇29日◇バンテリンドーム
カープの新星が「初ものずくめ」の活躍だ。プロ初登板、初先発の広島ドラフト2位左腕の佐藤柳之介投手(22)がプロ初勝利を飾った。広島新人投手の初登板勝利は昨年10月5日滝田以来で、先発では同9月15日の常広以来。初のヒーローインタビューに、初々しい笑顔がこぼれた。
「すごくうれしいです。ストライク先行でいけた。2軍でやってきたことがしっかり出せたかなと思う」
チームが全力でアシストした。マスクを被ったのはベテラン会沢。新井監督も「リードが素晴らしかった。期待通り引っ張ってくれた」と絶賛した。22歳の新人と37歳のプロ19年目捕手。15歳差バッテリーで話し合い、試合を組み立てた。打ってはファビアンが10号ソロと適時打で援護。守っては8回、中堅の大盛がダイビングキャッチの美技。チーム一丸でもり立てた。
3回1死のプロ初打席で、中日松葉からプロ初安打も。先輩床田から背番号28だけではなく、バットも譲り受けていた。「床田さんにもらったバットだったので、そのおかげかな。帰ったら報告したいです」と笑顔が弾けた。
ウイニングボール、初安打、さらにボスラーからのプロ初奪三振。記念球がこの日だけで3個も増えた。宮城県七ケ浜町から両親ら家族、親類が駆けつけ、三塁側スタンドで声援。大事なウイニングボールは両親に届けるつもりだ。
「目標として、まず1勝というのは掲げていた。次は2勝、3勝とできるように。任せられた試合はゲームを作りたいと思います」
カード勝ち越しで2位を守り、貯金は2に。新星が現れた広島がペナントレースを熱くする。【林英樹】
広島会沢(佐藤柳を好リード)「2軍でやってきたことをだそうな、と言いました。直球が鍵になる投手。2軍戦での配球も見て、いろいろ考えた」
◆佐藤柳之介(さとう・りゅうのすけ)2002年(平14)11月1日、宮城県生まれ。小学3年から野球を始める。中学時代は七ケ浜リトルシニア所属。東陵では甲子園出場なし。卒業後は富士大へ進学し、1年春からベンチ入り。リーグ戦通算21試合に登板して11勝1敗。4年秋にはMVP獲得。24年ドラフト2位で広島入団。179センチ、87キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。