
<ロッテ3-6ソフトバンク>◇27日◇ZOZOマリン
丸刈りで気合の1発だ! ソフトバンク山川穂高内野手(33)が復活号砲の10号満塁弾を放った。8回の第4打席。1点を勝ち越し、なおも2死満塁の場面でバックスクリーンへ豪快にダメ押しのグランドスラム。打撃不振に陥りファーム調整を余儀なくされた主砲が5月27日の日本ハム戦(みずほペイペイドーム)以来、49打席ぶりにアーチを描いた。1軍復帰に合わせ「丸刈り」で挑んだ復帰戦で見事に仕事を果たした。
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修験者のような風貌でソフトバンク山川はリーグ戦再開に復調を誓っていた。頭髪は12ミリに刈り込み、あごひげは蓄えたまま。不振脱出は自らのバットでしかかなえられない。2三振と中飛に終わった後の第4打席は8回に巡ってきた。代打近藤が勝ち越し打。さらに2死満塁。横山のカウント2-2からの5球目。154キロの直球はバックスクリーンに飛び込む10号満塁弾となった。
「いい場面で打ててよかった。三振、三振、そしてアウト(中飛)になっていたし、気持ち的にも打ててよかった」。にらみを利かせた眼光が少しばかり和らぎ、お得意のどすこいポーズを左翼席スタンドに向かって決めた。5月27日の日本ハム戦(みずほペイペイドーム)以来、49打席ぶりの快音にようやく笑顔が戻った瞬間だった。
ホークス移籍2年目。開幕から波に乗れない。「4番」の責任感は知らず知らずのうちに重圧ともなっていたのかもしれない。「プロ野球選手はずっと試合に出続けることが一番ですから」。バットが空を切っても下を向くことはなかったが、自らの成績と歩調を合わせるようにチーム状況もなかなか上向かない日々が続いていた。
交流戦中の16日に移籍後初めて出場選手登録を抹消された。小久保監督の配慮もあって専属の岡本打撃投手とともに福岡・筑後市のファーム施設で「打ち込み」に汗を流してきた。打席で丸まった背中を伸ばし、懸命に振り込んだ。復帰直前の24日には自宅の風呂場で「丸刈り」にして、心機一転を誓った。「打撃練習とかでも明らかに手応えはあった」。手に残る久々の感触。1カ月ぶりの豪快アーチに復調の手応えはしっかり感じ取ったはずだ。「あの時間(ファーム調整)を使って1本出るのと出ないのでは全然違う」と、小久保監督も主砲復活に期待を寄せた。
「(ホームランは)まぐれかもしれないし、もうちょっと欲しいですね」。復帰弾に照れ笑いを見せた山川だが、欲が出てきたのが何とも頼もしかった。【佐竹英治】