
<日本生命セ・パ交流戦:中日0-1日本ハム>◇20日◇バンテリンドーム
日本ハム伊藤大海投手(27)が有言実行のシャットアウト劇だ。「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦(バンテリンドーム)で9回5安打、112球の熱投で今季初の完封勝利を挙げた。決して調子が良くない中でも尻上がりの内容で、打線が6回に奪った1点のリードを最後まで守りきった。4敗目を喫した13日広島戦後に新庄監督に送ったDMの中で宣言した通りの頼もしい姿でチームに交流戦優勝の望みの残す、ハーラートップの7勝目を挙げた。
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ゲームセットの瞬間は、思わず天を見上げて叫んだ。今季12試合目の登板で、ついに完封勝利。ヒーローインタビューでは「手強いバッターが多い中で、ノーヒットノーランは無理だったんですけど、完封できて良かったです」。前夜、東京ドームで無安打無得点まであと2死まで迫った北山の投球は刺激になっていた。「あれ以上のピッチングといったら完封しかなかったので『俺がエースだ』と言わんばかりの投球をしようと思っていました」と言ってファンを沸かせた。
新庄監督に宣言した通りの投球内容だった。7回途中6失点で4敗目を喫した前回登板後。新庄監督からインスタグラムのDMで激励が届くと、伊藤は自分にプレッシャーをかけるように返信を綴った。新庄監督が試合後に明かした、その内容は「(次に)投げる時は1点あれば十分ですよっていうピッチングを見せるんで、見といてください」というような内容だった。
気合十分で臨んだが、立ち上がりは不安だった。「ゲーム前、あまりコンディションが良くなかった。まともにゲームをつくれる感じではなかった」。それでも崩れなかったのは、やっぱり“俺がエースだ”の自負もあっただろう。「なんとか慎重に丁寧に投げようとやった結果、いい感じにまとまってくれました」と振り返った。
本当に、1点あれば十分だった。「本当に1点だと思わなかったですけど」と笑った伊藤だが、これで新人から5年連続完封。球団ではダルビッシュ以来の記録だ。「今日みたいな力感、バランスならいつでも通用する。自分のベースとしてまた1つ良い経験になったと思う。こういう、ただ力技じゃないところも含めて、シーズンの中盤に気づけて良かった」。エースが成長した名古屋の夜となった。【木下大輔】