
<日本生命セ・パ交流戦:巨人2-1西武>◇20日◇東京ドーム
巨人が小林誠司捕手(36)の攻守にわたる活躍で交流戦で初めてカード初戦を制し、勝敗を五分に戻した。
8番で今季初のスタメンマスクをかぶると、6回に西武先発高橋からの今季初安打が決勝の適時打。先発赤星優志投手(25)の6回1失点での5勝目にも貢献した。プロ12年目、侍ジャパンでも活躍したベテランが存在感を放った。
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打った直後に漏れた声は「あ~」だった。小林は顔をしかめた。「遊撃は源田選手。捕られるだろうな」。1-1の6回2死、二塁からオコエが三塁を回った。ドームの全方位から、願うような声がボールの行方に集まった。「きれいなヒットはなかなか打てない。気持ちと、皆さんの応援が打たせてくれました」。背走の源田を含め、西武の3人の野手の真ん中へ芸術的なポテンヒット。「落ちた瞬間うれしかったです!」と一塁上で両拳を振った。
「気持ち」は実際にあるのでは-。そう思わせる、人一倍大きな声援が今季の小林には注がれる。この日は試合前のバッテリー紹介で初スタメンが告知されると、まだ半数ほどの客席から、満員並みの応援が起きた。交代で今季初出場となった13日オリックス戦では、5回からの登場に敵地京セラドーム大阪が沸騰した。「本当に力になります」と感謝は尽きない。
そのオリックス戦で赤星と組んで3回無失点。阿部監督がこの日の先発を決めた。5月24日に1軍昇格後、ついに勝ち取ったスタメンマスクで、再び赤星の好投を引き出した。1点リードした7回無死一、二塁では、強肩を発動して二塁にけん制。慌てて戻ろうとした二塁走者の児玉は三塁進塁に切り替えるも盗塁死。雄たけびを上げてガッツポーズした。
「日頃からいろいろな状況を想定して準備している」。常に自分が試合に出ている感覚、イメージを持ち、試合を終えた投手と会話できる機会を探す。「今やったら話してくれるかなとか。すごく大事だと思う」。仲間が少しでもいいプレーをできるため、勝利のための献身は変わらない。
甲斐の加入で正捕手争いは激しいが、「拓也ともいろんな話をしながら、捕手としてはより強くなったと思ってる」と歓迎する。「もっと投手陣とかみ合ってチームとして強くなっていけば、もっともっと勝っていける」。気持ちを込め、支えていく。【阿部健吾】
▽巨人赤星(6回7安打1失点で5勝目)「前回まではちょっとコース狙ったりとかっていうのがあったんですけど、思い切ってストライクゾーンめがけて投げた結果かなと思います」