
<W杯アジア最終予選:日本6-0インドネシア>◇10日◇C組◇最終戦(第10戦)◇パナスタ
まさにスターの立ち振る舞いだった。日本(FIFAランキング15位)がインドネシア(123位)に6-0。その中心に10番、キャプテンのMF久保建英(24=Rソシエダード)が君臨した。チーム主将のMF遠藤航(32=リバプール)もピッチに立ちながら、ゲーム主将マークを託された最終の第10戦。24歳初ゴールとなった1得点に1アシストを含めて3点に絡み、試合MVPに輝き、最高の形で11日のW杯北中米大会開幕1年前を迎えた。チームは最終予選を7勝2分け1敗。史上最多の勝ち点23に、最多の30得点と最少の3失点で駆け抜けた。
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W杯本番まで、あと1年-。最終予選の締めくくりではなく、本大会への戦いの幕開けを久保が彩った。1-0の前半19分、自身でスタートしたデザインされた左CKからゴール前に進入し、右足で蹴り込んだ。両膝スライディングで喜び、仲間から祝福されると、ベンチ前まで足を運んで森保監督とハイタッチした。攻撃をつかさどって6得点のラッシュを演出。69分間で存分存在感を示した。
字面だけで、ワクワクした。メンバー表の「KUBO」の横に(C)と記された。これまで10番を背負ってきたMF堂安が不在で今シリーズは久保が担う。オーストラリア戦はユニホームに「KUBO」の名前が入っていなかったが、日本でお披露目。キャプテンマークの大役まで任された。アルゼンチンのメッシ、フランスのジダン、ブラジルのネイマール、クロアチアのモドリッチ…。代表の象徴的存在への第1歩をゴールという形で踏み出した。
「いつもキャプテンマークを巻いている遠藤選手が球際だったり、しっかりしたものを見せてくれたりしているので。今日は僕が遠藤選手になったつもりで、切り替えのところを誰よりも速くやろうと心がけていた。いいパスカットやボール奪取からの攻撃につなげられて良かったなと思う」
期待に応えるのが世界的スターの役割だ。すでに突破を決め、大半の主力が疲労を考慮して選外となった中で、久保は若手新戦力のけん引役として招集。「リーダー気質じゃないと自分で思っている」と自己分析しつつ「リーダーとして何かを求められるなら、ピッチ内で見せたい」と理想のリーダー像を語っていた。3点目のラストパスに5点目のアシストも記録。守備では何度も自陣深くまで戻って強度の高さを示した。
4日に1つ年を重ね、24歳になった。誕生日当日の取材対応で世界最高の選手の称号「バロンドール」獲得について誓いを立てた。世界的ビッグクラブで結果を出した選手から選ばれる傾向が強いが「W杯次第では(候補に)入ってくる選手も日本からいるかもしれない。4年に一度のこの大会だけは、そういったものを覆す部分もあるので、期待をしていきたい」。森保監督が常々口にする「世界的スター出現」が目標のW杯優勝には不可欠。久保があと365日で、その存在に成り上がる。【佐藤成】