
<日本生命セ・パ交流戦:日本ハム-阪神>◇5日◇エスコンフィールド
日本ハム新庄剛志監督(53)がつくりあげた最高潮のムードに、23年ドラ1左腕は入り込めなかった。
注目された阪神藤川監督とのメンバー表交換。3日は視線を向けず、握手もしない不穏な“フリ”から4日は一転、笑顔でグータッチ。そして1勝1敗で迎えた第3戦。指揮官は審判団も巻き込んで円陣を組み、手を重ね合わせて「エイエイオー」と言わんばかりに手を挙げた。場内は拍手喝采。一致団結して最高のゲームを-というメッセージが込められたかのような「新庄劇場」だった。
高揚感あふれる雰囲気の中でマウンドに上がった先発細野晴希投手だが、本来のパフォーマンスを発揮できなかった。とにかくストライクが入らなかった。1回は先頭近本にストレートの四球を与えると、2番中野、3番森下にも四球。三塁側を中心に猛虎ファンの大声援もボリュームも増した。
無死満塁から4番佐藤輝は遊飛に抑えたが、5番大矢には押し出し四球で先制点を献上。6番ヘルナンデスにも適時打を浴びて、いきなり2失点。5回は近本に3個目、自身7個目の四球を与えるなど、さらに2失点を喫してKOされた。
昨季のプロ初登板の舞台は甲子園だった。24年6月18日阪神戦。敵地の大声援に「ちょっと押されたかな」という印象があった。今回は「なんかそこも含めて楽しめたら」と話していたが、エスコンフィールドでも猛虎ファンの圧はすさまじく、楽しませてくれなかった。5度目の挑戦だったプロ初勝利は、またお預け。最高のゲームの一員になれなかった。【木下大輔】