
巨人のV9戦士でONの後の5番打者としてクリーンアップを形成した末次利光氏(83)が3日、この日に89歳で死去した巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏を悼んだ。「長嶋さんの後の打席に立てたこと、一緒に野球をやってこられたことに感謝しています。今は力が抜けてしまって…。寂しいです」と声を震わせた。
最後に会ったのは昨年11月の「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2024」だった。歴代OBが大集結した中、真っ先に長嶋さんにあいさつした。「『お久しぶりです』と声をかけたら『おうっ』と。元気そうだったので、良かったと思っていました」と振り返った。
現役時代の思い出は数え切れない。1976年6月8日阪神戦。2点を追う9回裏2死満塁から、逆転サヨナラ満塁本塁打を打った時、長嶋さんがホームベースより5~6メートルも前に出て、両手を挙げて出迎えてくれたという。「あの光景は今でも忘れられない」と懐かしんだ。長嶋さんの後の打席という計り知れないプレッシャーの中で、支えになったのは長嶋さんからの声掛けだった。「『スエ、行けよぉ』と鼓舞してくれた。V9時代は結束力がすごかった」と振り返った。
長嶋さんが脳梗塞で倒れてからは、ほとんど会う機会はなかったという。「頑張られている姿をテレビで見て勇気をもらっていました。大変なリハビリを乗り越えた精神力がすごい。野球人としても人としても素晴らしい方だった。心からご冥福をお祈りします」と言葉を絞り出した。