
フィリーズ、ジャイアンツなどで米大リーグ通算582試合に出場したダリン・ラフ氏(38)が22日(日本時間23日)、レッズに対し、球団の管理不足により選手生命に関わるけがを負ったとしてオハイオ州ハミルトン郡の民事裁判所に損害賠償請求訴訟を起こした。選手が対戦球団を提訴するのは異例。ラフ氏は「こんなことは起こるべきではなかった。起こってほしくなかった。メジャーリーグのフィールドで、選手がこんな隠れた危険を心配しなければならないなんておかしい」と声明を出した。
負傷は23年6月2日、ラフ氏がブルワーズの一塁手として出場していた、シンシナティの敵地「グレートアメリカンボールパーク」で起きた。一塁側スタンドに入るファウルボールを追った際、フェンス手前にあった「タープローラー」にぶつかった。タープローラーは、降雨時にグラウンドにかぶせるタープを巻き取る金属製の器具。緩衝材が装着されていなかった。右膝に血がにじみ、訴状によると「膝に恒久的かつ重大な変形」が残ったという。60日間の負傷者リスト入りし、この後、メジャーリーグでプレーする機会はなかった。
ラフ氏は損害賠償とともに、レッズが球場を安全に保つために合理的な予防策を講じなかったとして、グラウンド整備員の行為に対する過失責任も追及した。弁護士を務めるトーマス氏は「これは明らかに回避可能なリスクだった。MLBのすべてのチームが守るべき基本的な安全プロトコルがあります。フィールドの端にクッションのない金属製ローラーを放置するのは言語道断だ」と声明を出した。
レッズはコメントしていない。
ラフ氏は12年フィリーズでメジャーデビュー。16年オフにドジャースにトレードされた後、韓国プロ野球のサムスンで3年間プレーした。20年ジャイアンツで大リーグに復帰し、メッツ、ブルワーズと渡り歩いた。内野と外野を守り、通算582試合で打率2割3分9厘、67本塁打、205打点をマークした。