
<高校野球春季関東大会:山梨学院7-6叡明>◇2回戦◇19日◇ノーブルホームスタジアム水戸
ダイヤの原石が輝きを増した。センバツで最速152キロをマークした山梨学院(山梨1位)の菰田陽生投手(2年)が、3回2/3を投げ、11アウトすべてを三振で奪った。圧倒的な投球で流れを引き寄せ、叡明(埼玉2位)に延長10回タイブレークでサヨナラ勝ちを決めた。横浜は作新学院(栃木2位)を7回コールドで下し、昨秋からの公式戦連勝記録を26に伸ばした。東海大相模(神奈川2位)と浦和学院(埼玉1位)も8強入りを決めた。
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春の甲子園を沸かせた2年生が、茨城の地でもスタンドの視線をくぎ付けにした。山梨学院の菰田が、直球主体の強気な攻めで奪三振ショーを繰り広げた。5-5と同点に追いつかれた7回1死二、三塁でマウンドに上がると「ブルペンにいた時から、いい感じに投げられていた」と強気に攻めた。先頭打者に適時打を許しても変わらない。「2ストライクと追いこんでからは三振を狙っていきました」と攻めまくり、3回2/3を投げ11奪三振だ。
終わってみれば奪ったアウトは全て三振だった。快投を支えたのは、この日最速148キロをマークした直球。投じた45球のうち直球は44球と真っ向勝負で挑み続けた。唯一変化球を投げたのは、延長10回タイブレークでの無死満塁のピンチ。フォークで見逃し三振に仕留めた時だけ。「キャッチャーの横山さんからフォークのサインが出たときは『マジか』とさえ思いました」と固執したかったほど、自信を持って軸球を投げ込んだ。
194センチ、98キロの恵まれた体格を操り、今春のセンバツでは2年生として甲子園最速タイの152キロをマーク。全国の舞台で自己最速を6キロ更新したが、まだまだ発展途上の段階という。清峰(長崎)時代に2度のセンバツ優勝を誇る吉田洸二監督(56)は「必ずや日本球界の宝になる」と大きな期待を寄せる逸材。「3年生の夏には160キロを投げたい」と胸に秘めた目標をかなえるべく、次戦も力強く腕を振る。【北村健龍】
◆菰田陽生(こもだ・はるき)2008年(平20)12月21日生まれ、千葉県御宿町出身。九十九里リトルで全国優勝を果たし、千葉西シニアではジャイアンツカップ出場。山梨学院では1年春の関東大会でベンチ入り。趣味・特技はスノーボード、好きな選手は大谷翔平。好きな言葉は「陰極陽生」。50メートル6、4秒、遠投100メートル、194センチ、98キロ。左投げ右打ち。