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福田湧矢&翔生、J1で夢実現の兄弟対決「もう泣きそうになっちゃって…」「もう1つの夢も」


明治安田J1第16節、東京ヴェルディ対湘南ベルマーレ戦で福田兄弟が初の公式戦対決を果たしました。兄の湧矢(26歳)は東京Vで左シャドーとして、弟の翔生(24歳)は湘南でFWとして先発出場。試合中、兄弟は熱い競り合いを続け、互いに全力を尽くす姿勢が観客の心を打ちました。試合は湘南が2-0で勝利したものの、湧矢は後半に負傷し途中交代を余儀なくされました。試合後、翔生は兄への感謝を涙ながらに語り、自身のプロ入り後の苦労を振り返りました。彼らの母親にとって、この試合は兄弟の努力と絆を改めて感じるものとなり、まさに「母の日」の最高のプレゼントとなったことでしょう。

兄弟対決が実現した東京V福田湧矢(左)と湘南福田翔生

試合後のミックスゾーン、弟は目を潤ませていた。

「アップ中、もう泣きそうになっちゃって…。これまで本当に兄ちゃんに支えてもらったので。僕がどんなに苦しい時でも本当に大丈夫だって、その支えがなかったら今こうやって僕はJ1の舞台に立っていないと思う」

途中、言葉に詰まる。感無量とはこのこと。どれだけこの日を夢見ていたことか、その思いはこちらの胸にも伝わった。

■東京V対湘南戦でともに先発

5月11日の明治安田J1第16節、東京ヴェルディ対湘南ベルマーレ戦は兄弟対決となった。

兄はヴェルディ所属の福田湧矢(ゆうや)、26歳、弟はベルマーレ所属の福田翔生(しょう)、24歳。ともに先発のピッチに立った。

湧矢は左シャドー、翔生は最前線のFW。ともに気持ちを前面に押し出した全力プレーが持ち味。何度もボールを競り合い、互いの体をぶつけ合った。弟が兄をファウルで倒すと、互いを鼓舞するようにハイタッチ。「スラムダンクみたい」。そんな声が近くから上がったが、まさに漫画のワンシーンのようだった。

この日の東京・味スタの気温は25・9度の夏日。繰り返しスプリントし続けた兄は、後半19分にピッチに倒れ込んだ。両足がけいれんしていた。心配した弟が駆け寄り、両足を伸ばすケアを施した。そのまま担架で運ばれ、途中交代となった。

一方の弟はフル出場で最後まで走り切った。試合も2-0の勝利。終了のホイッスルが鳴ると、弟はピッチに倒れ込み動けなくなった。こちらも担架で運び出された。

翔生は兄と同じ東福岡高を卒業後、当時JFLのFC今治へ加入。しかし4年間在籍したが、出場機会に恵まれず契約終了となった。そして23年に当時J3だったYSCC横浜に入った。そこで攻撃的MFから1トップにコンバートされ、ストライカーとしてその才能が開花。21試合で11得点を挙げ、その夏には湘南へカテゴリーを一気に2つも上げた。

YSCC横浜でプレーしていた当時の翔生に、何度か話を聞いた。東福岡高からガンバ大阪に入り、ルーキーながら開幕スタメンをつかんだ兄湧矢は雲の上の存在。「憧れの兄といつかJ1で一緒にプレーするのが夢です」と語り、試合が終わるたびに兄に電話連絡しているのだと話していた。そんな2年前の記憶が甦った。

湧矢も負傷などに苦しみ、昨季はリーグ戦7試合で1得点という結果に終わり心機一転、今季から東京Vへ完全移籍で加入した。

その湧矢に弟が不遇の時を経て、現在J1で活躍していることたずねると「アイツはやれるとずっと思っていた。だから不思議でも何でもない」。いつか必ず上がってくる、そう信じていた。

そんな兄弟が紆余(うよ)曲折を経てJ1の舞台で邂逅(かいこう)。両者の熱いピッチでの攻防は、そんな背景を知っているからこそ、より胸に響くものとなった。

■心折れそうな時に励ましの言葉

試合後、湧矢は「楽しかったです。(ハイタッチは)自然っすね。アイツはさすがやなと思います。あれだけ出し切れる、すごい。マジで勝ちたかった。悔しい」。ちなみにハイタッチは実家に帰省した際、2人で1対1をやると、ヒートアップした流れでハイタッチが出るのだという。

いつも陽気な湧矢は笑顔で、スッキリした様子だった。

一方の翔生は冒頭のコメントの通り、対称的だった。これまでの人生が思い出されたようだった。

「本当に僕はプロに入ってから苦しい思いばかりだったので、その時にJ1で兄ちゃんが活躍していて、毎試合、兄ちゃんが戦っているのをDAZNで見て居て、僕もやってやろうと思いましたし。本当に僕は挫折の連続だったので、本当に心が折れそうになっている時に兄ちゃんが助けてくれました。“おまえは大丈夫だ”“絶対にJ1になれるから”というふうに言われて、僕もやってやろうとおもおいました。ありがたいですね、本当に」

湧矢も順風満帆とはいかなかった。だからこそ、翔生は兄への尊敬の念が強まる。

「いろんな面で背中を見てやってきたのでうれしい。兄ちゃんも本当にケガとかいろんな苦しい思いをしている中で、今こうやっていることのすごさ。あれだけ挫折を繰り返している中で調子を取り戻してますし、そういう思いが入り交じってます」

試合後は「やっと戦えたな」と、互いの健闘をたたえ合った。そこには勝ち負けを超越した充実感があった。

■5・11母の日のプレゼント

話はここで終わらない。

翔生は双子で、もう1人の兄弟がいる。こちらは福岡県の社会人チーム「KMGホールディングス」に所属。くしくもこの日、天皇杯の福岡県決勝でJ3ギラヴァンツ北九州と戦い、1-2と惜敗していた。残念ながら全国切符とはならなかったのだが。

翔生は「兄弟対決という1つ夢は叶いました。あと双子のもう1人いるので、一緒にやりたいし、もう1つの夢も叶えたいです。可能性は本当にあると思うので、誰がどこで化けるか分からない。期待しています」。

くしくも5月11日は「母の日」。いつも明るい湧矢が以前「僕ら兄弟はみな母親に似てるんです」と話してくれたことを思い出した。

家族思いの素直な兄弟を育て上げた母親にとっては、人生最良のプレゼントだったに違いない。【佐藤隆志】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サカバカ日誌」)

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