
日本ハム宮西尚生投手(39)が879試合連続リリーフ登板を果たし、元中日岩瀬の持つ日本記録に並んだ。1点リードの6回2死二塁。楽天宗山に対して3球連続で宝刀スライダーを投じ空振り三振。「2球とも完璧で、そういう時の3球目は一番不安になるけど、腹をくくって投げたらいいところに行ったんでよかった」と笑みを見せた。
お立ち台では「先発もやりたかったんですよ」と言って場内を沸かせたが、日本ハム一筋、救援一筋で今季18年目。シーズン中盤から2軍暮らしだった2年前には引き際も考えていた平成、令和を渡り歩く“生けるレジェンド”左腕は今、常に覚悟を持ってマウンドに上がっている。
宮西 いつクビになってもいい。いつ引退になっても仕方がない。だから「この1試合を“愉しもう”」って今は思っている。
そんな思考は昨季、新庄監督から「たかが野球や」と言われたことがきっかけだ。「プレッシャーを無駄に感じていた」自身の肩の荷が下りた。蓄積された経験値に裏打ちされたマウンドさばきがあるから、この日も勝負どころでチームを救うことができた。
偉大な先輩左腕に肩を並べたが、「岩瀬さんが偉大すぎて並んだ感覚が全くない」と苦笑い。母の日前日に打ち立てた金字塔に「丈夫な体に産んでくれた母親に感謝」。これでチームは今季最多の貯金5となった。目指すは、このチームでの日本一。「自分の口からは言いたくない思いも正直ある。その時はズバッとクビをはねてくれ」との思いを秘めながら、チームに求められる限り左腕を振り続ける。【木下大輔】
▼879試合連続リリーフ登板のプロ野球タイ記録=宮西(日本ハム) 10日の楽天7回戦(エスコンフィールド)で今季10試合目に登板し、岩瀬(中日)の持つ最長記録に並んだ。岩瀬は1度だけ先発登板がありプロ3年目からの記録だが、宮西は先発が1度もなくデビューからすべて救援登板。