
チーム最年長右腕が甲子園に“西勇シート”をつくる。阪神西勇輝投手(34)が、日本財団が行う支援事業「子ども第三の居場所」とタッグを組み、今季の甲子園、京セラドーム大阪で金~日曜日に行われる阪神主催公式戦41試合に、子どもたち計246人を招待することが決まった。
西勇は4年前のオフから「子ども第三の居場所」の拠点を訪れ、子どもたちと交流を続けてきた。「話を聞いていて、衝撃を受けました。当たり前だと思っていたことが、その子たちからしたら当たり前ではない。目の届かないところに目を向けようと」。金銭や家庭的な困難を抱えながらも、純粋に訪問を喜び、一緒に遊ぶことを楽しんでくれる子どもたちの姿。何か力になりたいという思いが、自然とこみ上げてきた。
物品支援も行ってきたが、子どもたちが実際に体験するイベントを喜ぶと聞き、今回の“西勇シート”の設置に動いた。「応援に行きたかったけど、なかなか足を運べない子がいて…。そこから野球を始めて、野球選手になりたい子が出てくるかもしれない」。自身も幼い頃に野球教室などでプロ野球選手に間近で接し、あこがれを抱いた経験がある。夢を持ち、可能性を広げるきっかけにしてほしいとの願いもある。
「本当はもう夢を持っている可能性もある。だけど、何か自分で壁をつくって、きっかけを失ってるんだったら、こういうきっかけで『やっぱり野球したい』とかって思ってもらえたら」。マウンドで懸命に右腕を振る姿を見せて、子どもたちの夢を応援する。
◆「子ども第三の居場所」 経済的、家庭的などさまざまな困難を抱える子どもたちの支援を目的に、公益財団法人の日本財団(東京都)が16年から開始した事業。放課後の居場所を提供し、食事、学習や生活習慣の定着、体験機会のサポートを行う。24年12月末時点で全国243の拠点が設置されている。