
ソフトバンクの本拠地みずほペイペイドームに新設された「金言ロード」が3日、お披露目された。無機質だった選手専用通路の壁に数々の球団史を彩るなど大幅リニューアル。王貞治球団会長(84)の名言や栄光のリーグ優勝、屈辱の「生卵事件」までホークスの歩みが刻まれた。発案者の城島健司チーフ・ベースボール・オフィサー(48=CBO)は現役選手の発奮材料になることを期待。歴史を塗り替える前人未到の10連覇を最大目標に据えた。
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無機質だった壁に命が吹き込まれた。入り口には王会長の監督時代の金言が3つ刻まれている。99年ダイエー初優勝時の胴上げ写真もでかでかと掲載された。歩を進めれば、野村克也氏や門田博光氏ら南海レジェンドの名言も。チーム関係者は歴史館のような空間を経由して球場入りする。ドームツアー応募者にも公開される予定だ。
発案者は城島CBOだった。19年オフに球団会長付特別アドバイザーとしてソフトバンク復帰。「現役の時と通路が変わっていない」と思い立ち、約5年後に「金言ロード」のプロジェクトを完結させた。お披露目式に出席し「毎回ここを通って球場に行くし、家に帰る。少しでも心に響いてくれたら」。先人たちの金言や栄光の歴史をナインに浸透させる狙いがある。
王会長の金言の1つに「まだ見ぬ景色を求めて、挑み続けよう」がある。城島CBOは「『景色』という言葉は本当によく使っていた。同じ言葉でも、ある日響くわけです。今の子たちは会長の言葉を直接聞けなかったりするけど、響く時が来ると思う」と奮起につながることを期待した。1996年5月9日に起こった衝撃の「生卵事件」も掲載されている。「目を背けたくなる歴史ではあるんですけど、それを糧にして強いチームになった。今の選手たちが何かを感じてくれたら」。歓喜、怒り、屈辱…。ホークスの足跡が刻まれた。
城島CBOは「目指せ10連覇」を最大目標に据えた。「ジャイアンツの59を超える10連覇が(孫正義)オーナーの思い。重く感じています」。今季目指すリーグ連覇は序章に過ぎない。4日はヤクルトと本拠地初陣を迎える。大半の選手が「金言ロード」を初めて目にする。「次は俺が載りたいと思うとかね。そういう大きなモチベーションになってもらいたい」。球団レジェンドも一体となって前人未到の510を目指す。【只松憲】