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新3番の阪神佐藤輝明内野手(25)が2月28日、充実の沖縄・宜野座キャンプを打ち上げた。期間中の実戦では7試合に出場し、打率4割1分2厘。右翼への引っ張りだけではなく、全方向へポイント良く打ち分ける打撃に手応えを深めた。3番打者として柔軟な役割も求められる5年目シーズン。開幕まで残り1カ月を有効に活用し、チームの今季好スタートを導く。
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沖縄らしく晴れ渡った空に、佐藤輝がアーチをかけた。今キャンプ最後のフリー打撃。滞空時間の長い高々と上がった打球は、右翼芝生席の防球ネットを越えて着弾。今キャンプを締めくくる特大弾だ。最後の最後まで見届けた虎党からは、感嘆の声が漏れる。バットを持つ佐藤輝の顔も晴れ晴れだ。
「いい感じじゃないですか。試合でもいい当たりが出ていたので」
キャンプ中、実戦7試合の打率は4割1分2厘。オープン戦に限れば打率8割と打ちまくった。25年チーム実戦1号を含む2本塁打も披露。納得顔で満点キャンプを振り返った。
「しっかり練習から実戦に、つなげることはできたので。またあと1カ月あるので、いい準備をしたいと思います」
豪快な1発も魅力だが、自身が手応えを感じた部分は少し違う。今キャンプで取り組んだテーマの1つは「しっかり体を使って打つ」ということ。バットの「面」で捉える意識を養うため、クリケットバットを使った練習なども取り入れてきた。ここまで実戦の打席では、右翼だけでなく左翼方向への鋭い打球も。90度目いっぱい使った全方位打法に自身も「そこがいいポイントなんじゃないですかね」と手応えだ。
3番として期待される今季。2月22日のオープン戦・楽天戦では計9球粘った末の四球や、進塁打を念頭に置いたような右前打で好機を拡大させた。時に柔軟な打撃が求められる難しい打順で「つなぎ」の役割もきっちり果たしてきた。打撃技術の向上が、日々の結果につながっていることは間違いない。
意欲的に特守にも取り組み守備面でも「(手応えは)すごく感じています」。攻守両面で充実の1カ月となった。3月には5、6日に侍ジャパンとして強化試合・オランダ戦。16日にはドジャースとのプレシーズンマッチも予定される。「しっかり開幕に向けて準備している姿勢を見てもらえればと思います」。貴重な3月を有効に使い、藤川阪神のスタートダッシュに貢献する。【波部俊之介】
<佐藤輝の今春キャンプ>
◆充実の滑り出し(1日)早出でサブグラウンドでダッシュ。「練習後では走れないかな」と意欲満々。三塁特守にも取り組んだ。
◆広角アーチ(2日)ランチタイム特打で66スイングし、16発の柵越え中11本が左方向。「あっちにいい打球が出るのはいいこと」と手ごたえ。
◆豪快にチーム初アーチ(9日)紅白戦で初回に、右翼へ120メートル弾。「結果は別として、いいスイングができた」と内容重視。
◆正座対談(12日)藤川監督の投打の主力との面談に、なぜか正座して神妙に聞き入った。
◆侍復帰(14日)23年11月以来の侍ジャパンに選出が決定。井端監督に長打力を期待され「身が引き締まる」と喜んだ。
◆オープン戦初戦に特大弾(22日)楽天戦に3番三塁で先発し、特大ソロを含む3打席全出塁。「今日は(全打席)良かった」と笑顔を見せた。
◆3番に完全対応(23日)中日とのオープン戦で、引っ張りと軽打を披露し2安打。つなぐ姿勢を印象づけた。「振りにいけているので、それはいいところ」と積極性と状況判断を両立させた。