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日本野球機構(NPB)は27日、オリックス山岡泰輔投手(29)のオンラインカジノ利用発覚を受けて行われた12球団の調査結果を公表した。選手・監督・コーチ・スタッフなど球団関係者からオンラインカジノ利用の自主申告があったのは、26日までの時点でオリックスを含む計7球団14人だった。14人に山岡投手は含まれない。野球協約第180条が禁止する「野球賭博」を行ったと申告した者はいなかった。NPBは、今後の対応・処分は各球団に委ねる方針だ。
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過半数の7球団から、新たに14人のオンラインカジノ利用が明らかになった。NPB中村勝彦事務局長は「非常に重く受け止めている」と話した。14人はいずれも刑法の単純賭博罪の公訴時効(3年)にかからない22年2月以降の案件。既に時効となっている者からの申告もあったが、公表対象とはしなかった。ただ、それらのケースについても必要に応じて調査は行う。
14人については、警察に相談させるのか、山岡のように活動自粛とするのか、NPBは名前の公表も含めて対応・処分を各球団に委ねる方針。というのも、野球協約第180条が禁止する「野球賭博」を申告した者はいなかったことが大きい。選手なのか、指導者なのか、スタッフなのかという14人の内訳や、かけた金額、頻度など、個別の詳細は伏せられたが、仮に「野球賭博」となれば、コミッショナーによる無期限失格処分もあり得る重大案件だった。
もちろん、単純賭博だからOKという話ではない。現時点で最悪の事態は免れたとしても、あくまで今回は「自主申告」。自ら申告した行為は考慮されるべきだが、各球団やNPB全体で行ってきた有害行為などに関する啓発活動が、結果的に十分機能しなかったと言える。中村事務局長は「回数を増やすとか、認識を高めてもらう方策をとるとか。さらに深めていかないといけない」と認めた。
NPBは日本プロ野球選手会と協議しながら、当面の間、自主申告の受け付けを続ける。野球協約第5条が定めるコミッショナーによる調査委員会の設置については、中村事務局長は「今の段階ではお答えできない。まだ本当にスタートですので、今後これからという形になると思う」と述べるにとどめた。
◆野球協約第5条 違反行為の申告等があった際には、コミッショナー事務局は、予備調査を行い、違反の疑いの心証を得た場合、コミッショナーに報告し、コミッショナーにおいて調査を開始する。前項の調査開始に際してコミッショナーは、事案の複雑性等を考慮して調査委員会を設けることがきる。
◆野球協約第180条が定める「賭博行為の禁止」
選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の行為をした場合、コミッショナーは、該当する者を1年以上5年未満の期間の範囲内で期限を定めた失格処分、又は無期限の失格処分とする。
(1)野球賭博常習者と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受し若しくは供与し、要求し、申込み又は約束すること。
(2)所属球団が直接関与しない試合、又は出場しない試合について賭けをすること。
◆オンラインカジノ インターネット上のサイトで会員登録して、スマートフォンやパソコンから現金や仮想通貨を賭けてスロット、バカラなどのゲームができる。プロスポーツの勝敗を競うものもある。日本国内からアクセスした場合、賭博をすれば刑法の賭博罪に該当する。賭け金や配当の入出金の決済に関与したり、広告などで勧誘したりすると賭博ほう助罪に問われることもある。