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U-20アジア杯中国大会で4強で敗退したU-20(20歳以下)日本代表が27日、帰国した。9月のU-20ワールドカップ(W杯)チリ大会の出場切符をつかむ目標を達成し、主将のDF市原吏音(19)は、準決勝敗退の悔しさを口にしながらも「本大会で7試合やることが目標。優勝のためには層の厚さが絶対に必要。あと半年、1人1人がやることをやって、半年間成長してワールドカップを迎えたい」と前を向いた。
今大会はプロ選手、高校生、大学生と幅広いカテゴリーの選手がチームに集った。市原は主将としてチームをまとめるべく、食事の席を変えて回り、数多くの選手とコミュニケーションを図り、選手ミーティングも開催。徐々にチームの結束力、きずなが芽生えたのを肌で感じた。「僕自身もやりがいというか、少したくましさが芽生えてきたような気がします」。プレーはもちろん、プレー以外の部分も自ら模範となるべく立ち居振る舞い、信頼をつかんでいった。チーム一丸でW杯切符をつかみ「今大会の1カ月で、自分も成長できた」と振り返った。
最年少の高校生MF高岡伶颯(17=日章学園)とピッチ上で、けんかしたエピソードも明かした。W杯切符をかけた準々決勝のイラン戦。市原が最後方から途中出場の前線の高岡にカツを入れたところ、高岡が言い返してきたという。
市原は「後ろはずっと守ってたので。早く点を取ってくれと。あれだけチャンスがあった中で決めきれないFW陣に、ちょっと強く当たっちゃうのは自分の弱さですけど…。自分が強く言わないとと思って言ったら、高岡自身も意見があったらしく」。
前線と最終ラインで言い合いをしたものの、ブーイングもあって声がかき消され、互いに何を言っているかは分からなかった。市原は「お互い、何か怒っているな、という感じで言い合ってた。でもすぐに仲直りしましたし。強いチームというのは(ピッチでの言い合いが)絶対にあると思う。僕自身はうれしかった」と振り返った。
プレーでは「点が取れるセンターバックになりたい」と目標を掲げる。「大きい大会になればなるほど、セットプレーの重要性は上がっていく。セットプレーから点が取れるセンターバックになりたい」。まずは自チームのJ2大宮で勝利に貢献し、J1昇格へと導く覚悟だ。【岩田千代巳】