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東京ヴェルディの熱血指揮官、城福浩監督(63)が日本列島を覆う強烈寒波を吹き払うような“熱風”をもたらした。
20日、東京・稲城市内で次節・鹿島アントラーズ戦(22日)に向けた会見に臨んだ。開幕戦では国立を舞台に因縁の清水エスパルスに0-1と敗戦。負けた事以上に、ヴェルディらしさが見えないサッカーへの反省が口を突いた。
そこで熱く語ったのが「ヴェルディとは?」という根幹の部分だった。
鹿島戦に向けたチームミーティングでは、戦術的な部分、戦う上での気持ちの部分、そしてハードワークの部分と切り分けて、自分の考えを伝えたという。
試合に向けた詳細については伏せたが、城福監督は目をギラつかせてこう話した。
「(清水戦は)おそらく、見ている方が“あれっ、ヴェルディってこんなだったっけ?”ていう、そういう印象をもたれたんじゃないかと。“ヴェルディってなんか尖ったものがあったはずで、何だったけ?”ぐらいの。感覚的に言えば、そういう感じをもたれてもしょうがない試合をしてしまった」
そしてこう続けた。
「ヴェルディがなぜ去年J1で周りの期待を、周りの予想を、いい意味で裏切れたのか。見ている方が漠然とでも感じられたものが、この前の開幕戦では感じさせることができなかったことが一番の問題」
攻守におけるプレーについて、さまざまなプレー映像も絡めながら「ヴェルディらしさ」を問い続けたという。
「去年の開幕の頃の、絶対にこの舞台を逃しちゃいけないという思いと比べたら、思いが濃かったと言えないのは事実で、その思いをもう一度取り戻すためには、そういう思いを内に秘めている選手を起用していくこともそうだし、出ていた選手が我々のいろんな面でのベースをもう一度思い出させるっていうことも。両方のアプローチが必要かなというふうに思っています」
それゆえ、鹿島戦のポイントは「我々らしさを取り戻す」ことにフォーカスしている。清水戦を振り返り、選手たちからも「ルーズボール、スクランブルのところで負けていた」という声が出たという。
城福監督は清水戦の後、90分の試合を時間をかけて2回見直した。そこで見えたのは、ピンチになっているところでは、ことごとくルーズボールに負けていたことだった。実際に失点した1、2分前がそうだった。空中戦がエアバトルの状態にもなっていなかった。そこは重要ポイントとして反省した。
粘り強く球際で戦い、相手の思い通りにやらせない。攻守に渡るハードワークが持ち味のチーム。どこのチームよりも汗をかく。クロスが来ないかもしれないけど、ペナルティーエリアへ複数で飛び込んでいく。攻められたら全員が帰陣し、シュートブロックする。攻守に渡り、もう1歩先へ足を止めずに走り続ける。ギラギラとした目。ひたむきかつ、狡猾に試合の展開を読む。そんな一体感ある戦いができるのがヴェルディだろう。
「我々がリードされていたら、去年であれば、どの相手にもゴールにクギ付けにするくらい攻め込めたはずなんです。そこで同点にできるか、できなかったり、逆転したりとか。そのクギ付けにすることさえできていないんですよ」
そんな指揮官の厳しい言葉は、すべて選手たちと共有され、鹿島戦へのカンフル剤となっている。
「我々が、我々の経験値で、我々規模のクラブが丸くなったら、もうこれは勝負できないですよ。何に尖ってきたのか、ということをもう一度みんなで認識すること。尖れば必ずリスクがあるんですよ。我々は何のリスクを背負っているのかと。ここも含めてみんなで強い共通意識を持って今週は準備しています」
尖ったヴェルディを取り戻す-。今季初勝利へのキーワードは定まった。あとは個性の強い鹿島を相手に実践するのみ。JFK熱風が強烈寒波を吹き払い、チームに春(勝ち点)をもたらすか? 乞うご期待。【佐藤隆志】