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セレッソ大阪の日本人エース候補、FW中島元彦(25)が14日のJ1開幕ガンバ大阪戦(パナスタ)で約3年ぶりの復帰戦に臨む。先発か途中出場か流動的だが、いずれにしても今季の命運を握る1人になる。
22年4月からJ2ベガルタ仙台に期限付き移籍していた中島は今季、約3年ぶりに古巣復帰。昨季は初の年間2桁得点となる13ゴールを記録し、J2優秀選手賞なども受賞。仙台をJ1昇格プレーオフの決勝まで導いた。
下部組織出身でプロ8年目となる中島は、大阪ダービーでの開幕に「みんな燃えていると思う。自分が試合に出られるか分からないが、アピールできればいい」と意気込んだ。
リーグでのG大阪戦は、仙台に移籍前に経験した21年5月2日(ヤンマー)の1試合のみ。当時はレビークルピ監督の下、後半18分に途中出場した中島が、11分後の同29分に右足で先制ゴールを決めている。
結果は追いつかれ、1-1の引き分けに終わった。当時はコロナ禍で無観客開催だった。
「トップチームで出た大阪ダービーのリーグ戦は、あれだけ。あの時は無観客だったし、大舞台は燃えるタイプなので、その力を発揮できればいい。(今回のように)アウェーの方が燃えると思う」
C大阪は近年、日本人アタッカーの人材難が続く。昨季は全43得点のうち、FWレオ・セアラ(現鹿島)が21点を稼いだものの、2番手はMF田中、ルーカス、FWブエノの各3得点と低調。得点のにおいさえないのが現状だ。
センターFW、トップ下、2列目、ボランチも兼務できる中島は、柔軟性のあるパスワークや正確なFKなどが武器だが、現在のC大阪が求めるのは何より得点能力だろう。仙台で磨かれた感覚を、FWとして発揮するだけだ。
心情をストレートに表現する性格も、チームには数少ない。その強心臓は、J1歴代最多得点(191ゴール)を誇るOBのFW大久保嘉人さんの系譜かもしれない。
1月9日の始動日には、風邪のような症状で参加できずに出遅れた。「どうなるかと思った。正直、焦りがあった」というが、途中合流したタイ1次キャンプ以降は「(練習試合で)90分もできたし、コンディションはだいぶ上がってきた」という。
新加入のハットン、チアゴのブラジル人FWとの連係も「彼らの特長、個性もあるので、生かしてあげるようなプレーもしたいし、自分の特長も、だいぶ分かってもらえたかなと思う」と、自信を深めている。
アーサー・パパス監督(44)の攻撃的サッカーについては、「チーム全体で勢いあるサッカーができると思う。いい方向にまとまっていける」。J1では21年の12試合2得点しか実績がない中島が、14日金曜日夜に1試合だけで開幕する大阪ダービーで、新たな1歩を踏み出す。
◆中島元彦(なかじま・もとひこ)1999年(平11)4月18日、大阪市生まれ。C大阪U-18(ユース)から18年プロ契約。20年途中で当時J2の新潟へ期限付き移籍、21年C大阪復帰し、22年4月にJ2仙台へ期限付き移籍。本職はFW、MFなど攻撃的な位置だがボランチも可能。両足でのFKも武器。J1通算12試合2得点、J2通算138試合28得点、J3通算78試合19得点。171センチ、71キロ。愛称「もっくん」。