
空に羽ばたくように右手を掲げた。ドラフト3位荘司宏太投手(24=セガサミー)が5日、沖縄・浦添キャンプでブルペン入り。グラブをはめる右手を高く上げるダイナミックなフォームで投げ込んだ。「バランスが後半、整ってきた。いい感じで終われた」と、直球にカーブ、チェンジアップを交えて43球を投じた。
躍動感あふれる個性的なフォームに、右打席から球筋をチェックした古田臨時コーチは「羽ばたき王子」と命名した。独特の腕の使い方にタイミングの取りづらさを感じ取り、両手で「マル」のポーズを作った。「最近おらへんよな。ああいうタイプの投手。羽ばたいてるな」。村田兆治、大野豊、山本昌ら名投手の名を挙げ、イメージを重ねた。
そのフォームは1年前に完成した。リリーフ専門の左腕は1イニングに最大出力を発揮する方法を模索。軸足の左足に体重を乗せ、強く腕を振れるフォームとした。「しっかり顔を流し、腕の通り道を作る」と岡島秀樹のように捕手方向を見ず“あっち向いてホイ”投法の要素も混じる。
「羽ばたき王子」と呼ばれ、荘司は「おもしろいですよね。ちょっと柄じゃないですけど…」と笑った。身長172センチ、体重88キロでセガサミー時代に付けられたニックネームは「ダルマ」だった。ただ“ギャップ”は持ち味。150キロ前後の直球、チェンジアップやカーブが120キロ前後でブレーキが効く。約30キロの球速差で打者を幻惑する。
高津監督からも「緩急の部分で非常にいい。打者がどんな反応するか」と期待された。昨季、チーム防御率3・64はリーグワーストで、巻き返しには投手陣の再建が急務。「ダルマ」であり「羽ばたき王子」。ブルペンを厚くする存在となり、燕をセ界の上昇気流に乗せる。【上田悠太】