
メ~っちゃ高い壁を越えていくゾウ~。ソフトバンクのドラフト2位、庄子雄大内野手(22=神奈川大)と同6位、岩崎峻典投手(21=東洋大)が宮崎キャンプ最初の休養日となった5日、アジアゾウなど動物とのふれあい体験を行った。庄子はルーキーで唯一のA組(1軍)で奮闘中。壁を登る習性があるヤギともたわむれ、盗塁王(周東)と遊撃レギュラー(今宮)の壁を越えていく意気込みを語った。
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体重約3・8トンのアジアゾウ「みどりちゃん」の上で庄子が力強く拳を握った。「優勝するゾウ~! 」。バランスを崩せば落下しそうなライド体験も「いいトレーニング。ずっと乗っていればちょっとは鍛えられるかな」と涼しい顔だ。プロ初のキャンプ休日は「いい経験」と愛らしい動物たちに癒やされた。
宿舎近くにある「宮崎市フェニックス自然動物園」を訪れた。まずはヤギの大群による小走りを目の当たりにした。「思ったより速かったなって感じですけど、全力で走れば抜かせそう」。思わず俊足ならではの感想が飛び出した。ある種のヤギには特徴的な脚やひづめ、肉球を生かして壁をよじ登る習性がある。庄子にとっての乗り越えたい壁は周東と今宮だった。
「盗塁王という目標を立てている以上は、周東さんの壁を越えないといけない。また、盗塁王を取るためには試合に出続けないといけない。同じポジションの今宮さんの壁も越えないといけない。2つの大きな壁を越えなければいけないなと思っています」
新人6選手(支配下)の中では唯一のA組入り。堅実な守備と50メートル走5秒7のスピードを持ち、神奈川大学リーグでは通算54盗塁を記録した。大学時代の愛称は「チーター」。主戦場は遊撃で2年連続盗塁王の周東、さらに遊撃スタメンが最有力な今宮を脅かす存在として期待されている。「思った以上に疲れや疲労感がある」という春季キャンプは第1クールが終了したばかり。ヤギやポニー、アジアゾウに心を癒やされて「まだキャンプも続く。まずはA組でケガをしないように完走したい」と引き締めた。
小久保監督は熾烈(しれつ)な先発争いについて「チーム内の競争がない限り発展はない」と話していたが、これは先発投手に限った話ではない。即戦力ルーキーが偉大な先輩たちを脅かす。【只松憲】
◆庄子雄大(しょうじ・ゆうだい)2002年(平14)10月2日生まれ、神奈川県出身。横浜では2年春に三塁手でセンバツ出場も初戦で明豊に敗れ、自身も無安打。神奈川大では1年秋から遊撃を守り、通算54盗塁をマーク。昨年ドラフト2位でソフトバンク入団。178センチ、78キロ。右投げ左打ち。