25年“宜野座1号”は指揮官絶賛のホープが決めた。阪神の沖縄先乗り合同自主トレが29日、宜野座でスタートした。主力組中心の36人が参加。フリー打撃では高卒3年目の井坪陽生外野手(19)が左翼に最速柵越えを放った。打撃フォームはドジャースのムーキー・ベッツ内野手(32)にそっくり!? 期待の若虎がスーパースターの打撃を参考に南国の主役へ名乗りを上げる。
◇ ◇ ◇
井坪はまだ19歳の若虎らしく、「良かったっす」と初々しくほおを緩ませた。
肌寒さが残る沖縄・宜野座。先乗り合同自主トレ初日からいきなり主役を張った。近本や森下など主力組から熱視線を送られる中、フリー打撃の最初の班でケージへ。わずか2スイング目、左翼方向の曇り空に打ち上げ、25年チーム最速で柵越えを決めた。
昨季は2軍でわずか2本塁打。今オフはスイングスピードの向上に取り組んできた。この日は40スイングで4本の柵越え。自主トレの成果が早くも南国の地で証明された形だ。
打撃フォームはドジャースのベッツを連想させた。グリップエンドを上下させ、クロスステップで球をとらえにいく。「ベッツだけではないですけど、参考にはしています」。ベッツの身長は175センチ、井坪は177センチ。似たような背丈の右打者で、首位打者やMVPに輝いてきた男の打撃理論は確かに最高の勉強材料に違いない。
スーパースターのすごさを問われると「踏み込みの強さだったり、割れの大きさ。体の上下の連動を参考にしている」と説明。「ファウルで切れる打球もあったので修正していく」とさらなる進化を目指す。
高卒2年間で1軍出場こそないが、昨季はウエスタン・リーグ105試合出場で打率2割7分5厘と着実に経験を積んだ。昨秋の高知キャンプでは紅白戦で決勝打を放つなど存在感を放ち、藤川監督からも「走攻守で非凡なものがある」と高評価された逸材だ。
今春は主力組中心の宜野座スタートを初めて勝ち取り、外野の1軍枠争いへ闘志をむき出しにする。入団会見時に「3年が勝負」と力を込めた若虎は今年が入団3年目。前川、井上らライバル勢に負けじと、“ワールドクラス”の打棒で宜野座の主役に躍り出る。【山崎健太】
◆藤川監督就任後の井坪 昨秋の高知・安芸キャンプでは3度の紅白戦で2試合連続打点を挙げるなど存在感を示した。藤川監督は「今後、大事な存在になる。(1軍に)引き上げたい」と絶賛。井坪も「監督が変わった時がチャンス。一気に1軍に定着できるように」と呼応した。1月21日のスタッフ会議では主力組中心の宜野座キャンプスタートに抜てきされ、指揮官からは「急成長を遂げて開幕に入ってきたりとか、そういった部分が楽しみです」と期待を寄せられた。
○…坂本も「ベッツ打法」を試行錯誤中だ。いろいろな打ち方を試す中で、ベッツの打撃映像も視聴。「1番イメージしやすかった」形の結果として、現状似たフォームに行き着いたという。「あれぐらいの体のサイズであれだけ飛ばしてパワーを伝えるのは、いいお手本になる。今はそういう風に見えるだけで、キャンプが終わる頃には全然違う形になっているかもしれないですけどね」と語った。