巨人坂本勇人内野手(36)がマー君とともに“復権”する。22日、沖縄県内で自主トレを公開。プロ19年目のベテランは連日ハードメニューを消化し、シーズンに向けた下地作りに励んでいる。昨季は94安打、7本塁打と苦しみ、打率2割3分8厘は自己ワーストだった。今季は小学生時代に昆陽里(こやのさと)タイガースでバッテリーだった田中将が楽天から加入。ともに復活を期すだけに「一緒にお立ち台に立てたらチームにとっていいことだと思う」と再タッグを組む。
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坂本が軽快に坂道を駆け上がった。「バキバキです。(コンディションは)良くないです」との言葉とは裏腹に、充実感がにじみ出た。午前9時から4時間、走攻守のハードメニューを消化。“チーム坂本”はオコエ、湯浅、増田陸のコアメンバーに、今季から萩尾、かつて同僚だった陽岱鋼が加わった。寝食をともにし「みんな一生懸命、練習してますし。自主性を大事にしたいなと思ってるんですけど」と共同生活での合同自主トレをリードする。
まさかの“再会”が復活へのモチベーションにもなる。楽天を自由契約となった田中将が加入した。小学1年のときに出会った旧友に「まさかね。プロの世界で同じチームでできると思ってなかった。お互いにそんなに考えてはないと思うんですけど、深く考えればすごいことだなと思って」と話した。
同時に、初心に立ち返ることができる存在でもある。「ほぼ同じ時期に同じチームで野球を始めた。僕にとってはすごく特別な存在でもありますし。2人で活躍してチームに貢献できれば一番」。暗くなるまで夢中に白球を追いかけたあのときの光景がよみがえる。
だから、まだまだ老いるのは早い。現役最多の2415安打を放つレジェンドも、昨季は94安打にとどまり、2軍再調整も味わった。「去年は『坂本は打たないな』って、たぶん言われてたんで『あいつ、やっぱり打つな』って思わせます。頑張ります」と自らを奮い立たせた。通算200勝まであと3勝としている田中将に「投げている試合で活躍したいですし、それこそ一緒にお立ち台に立てたらそれはそれでチームにとっていいことだと思う」とメモリアル勝利のお立ち台で2大レジェンドによる夢の2ショットを目指す。
最後は涼しい顔できっぱり言った。「やっぱり将大も去年あんまり良くなかったし、僕もそうでしたし。お互いにもう1回、絶対に見返してやるぞと思ってやってる」。絶対に-。坂本に二言はない。【為田聡史】
◆坂本が狙える主な記録 現役最多の通算安打2415本は、歴代では12位。10位の土井正博(西武=2452本)まであと37本で、10傑入りが目前。過去7人しかいない2500安打も残り85本に迫っている。通算二塁打は歴代2位の459本。1位の立浪和義(中日=487本)まで残り28本で、今季中にも史上1位の座が狙える。猛打賞は歴代3位の通算190度。1位の張本勲(ロッテ=251度)にはまだ及ばないが、2位の川上哲治(巨人=194度)まではあと4度で、球団記録には届きそうだ。