阪神ドラフト2位の今朝丸裕喜投手(18=報徳学園)が17日、神戸の希望の光になることを誓った。阪神・淡路大震災の被災者へ黙とうをささげ、地元への思い、プロ野球選手としての自覚を新たにした。この日は新人合同自主トレ初のブルペン入り。ともにブルペン入りした育成ドラフト1位の工藤泰成投手(23=四国IL徳島)は早くも150キロを計測し、視察した平田勝男2軍監督(65)ら首脳陣にインパクトを与えた。
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1995年に起きた震災から30年の月日が流れた。2006年生まれの今朝丸は当時を知らない。それでも神戸出身者として神妙な面持ちで思いを語った。「震災当時の話は学校の先生や親から聞いたことがあります。自分が聞いたことをしっかりと次の世代につなげていきたいと思います」。地元出身者として震災の教訓を伝えていく。自覚と責任が言葉の節々からにじみ出た。
「学校の授業などで当時の映像や高速道路が倒れている写真を見たことがあります。道が通れないような状況だったので、ほんとに怖いなという印象があります。でも(被害を)知っているのと知らないのとでは対策のやり方も変わってくる」。今後は影響力のあるプロ野球選手として活躍を続け、自らも思いを発信していく。
この日は新人合同自主トレで初めてブルペン入り。立ち投げで力強く20球を投じ、「しっかりいい回転で投げられたので、すごく良かった」と充実感を漂わせた。平田2軍監督ら多くのスタッフが見守る中での初ブルペンだったが「やりにくさとかはなくて、むしろいい形で投げられる」と早くも大物感たっぷりだ。
平田2軍監督はマウンド上での立ち振る舞いに舌を巻いた。「落ち着いた雰囲気を持っているよね。オーラみたいなのは藤浪晋太郎みたいだよね。(今朝丸も)上背があるし楽しみな素材だよ」とニンマリ。故郷の被災を風化させないためにも-。地元神戸を象徴する選手へ、1歩ずつプロの階段を上がっていく。【山崎健太】