セレッソ大阪の“イケオジ”ことアーサー・パパス新監督(44)が、自身の流儀でチームの結束力を高めている。
11日から始まったタイでの1次キャンプも、16日で後半戦に入った。
クラブ関係者によると、その中で指揮官独自のルール、慣例として定着したのが、練習前に行う監督とスタッフによる全選手との握手、及びあいさつ(=実際に「グッドモーニング」などと声に出す)だ。握手などは試合前によく見られる光景だが、日常の練習にも用いられたかたちだ。
クラブ初のオーストラリア人監督が、タイでの初練習となった12日、選手の前で語りかけた。
「チームの規律を整えるためにも、みんながバラバラにならないように。ピッチ内外で意思統一を図る。強調したいのは、サッカーだけでなく(キャンプでの)共同生活を通して、グループではなく、家族になれるようにしたい」
C大阪の初代監督、ブラジル人のパウロ・エミリオさん(享年80)の信条が「チームは家族」だった。あれから30年がたった今、原点回帰のように「家族」という言葉が、ごく自然に戻ってきた。
ホテルでの食事も、全員がそろわないとスタートしない。もちろん、このルールもいい、悪いではない。指揮官が、仲間に対するリスペクトの思いを表現しているだけで、選手にはこういった姿勢はおおむね好評のようだ。
クラブの公式ユーチューブで公開される練習の様子は、前評判通り、素早い攻守の切り替えを求めたハードな内容になっている。横浜Fマリノスでコーチ、ヘッドコーチを務め、19年にJ1優勝を経験したように、攻撃的なサッカーの完成を目指しつつ、ピッチでのアドバイスは堅苦しくない。
「毎回、うまくなって、よくしていこう。難しいことを考えて、難しい選択をするよりは、シンプルに。そして、楽しもう」
19日に帰国後は、2月2日まで宮崎市内での恒例の2次キャンプに入る。J2クラブとの練習試合も予定され、その頃には、より家族になったパパスC大阪の姿が見られそうだ。
◆アーサー・パパス 1980年2月12日、オーストラリア・メルボルン生まれ。29歳だった09年に母国のU-18代表アシスタントコーチに就任。母国オークリーキャノンズやインド、サウジアラビアのクラブで監督、コーチを歴任。ポステコグルー監督就任2年目の19年に横浜コーチに、20年にヘッドコーチ昇格。21年にJ3鹿児島監督に就任も、コロナ禍で家族が体調を崩し双方合意で途中退任。その後はタイ1部ブリラムも率いた。