日本の野球殿堂博物館は16日、今年の殿堂入りメンバーを発表し、日米通算4367安打のイチロー氏(51=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が選ばれた。有効投票349票中323票を獲得で、投票率は史上6位の92・6%。史上初の満票は逃したが、資格1年目での殿堂入りは18年松井秀喜氏、金本知憲氏以来、7年ぶり7人目となった。
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イチロー氏は上下濃紺のスーツで通知式に出席。記者会見は私用のため欠席となったが、主催者を通して「多くの人が常識だと思っていることを疑い、大事な決断は自らしてきました。第三者の意見ではなく、感性に基づき行動してきたことは大きな要因のひとつだと思います」とコメントした。
ピート・ローズのメジャー通算4256安打を超える、日米通算4367安打の金字塔を打ち立てたが、オリックスでの日本時代に限っても、実績は文句なしだ。プロ3年目から7年連続首位打者は史上最長記録(2位は張本勲の4年連続)で、7度は張本と並ぶ最多タイ。首位打者を取り続けたまま、渡米した。NPBでは9年プレーし、通算1278安打だが、757試合での1000安打は史上最速だ。
仰木彬監督の発案で本名の鈴木一朗から登録名を「イチロー」に変えた94年に、一気にブレークした。史上最長の69試合連続出塁をマークし、史上初のシーズン200安打を達成した。右足を振って反動をつける「振り子打法」は、一世を風靡(ふうび)した。最終的にはシーズン記録を更新する210安打で、パ・リーグ記録を更新する打率3割8分5厘。野手史上最年少でMVP、ベストナイン、正力松太郎賞などを受賞した。
阪神淡路大震災が起きた95年には「がんばろう神戸」の象徴として、首位打者、打点王、盗塁王などを獲得。リーグ優勝の原動力となった。その後も首位打者を獲得し続け、00年には打率3割8分7厘と、自らのパ・リーグ記録を更新した。01年からポスティングで米大リーグのマリナーズに移籍した。
メジャーリーグでも1年目から首位打者、盗塁王、新人王、MVPを獲得した。10年まで10年連続200安打。04年には262安打で、シーズン最多安打を84年ぶりに更新した。米国では1位タイの最多安打7回で、06~10年まで5年連続で両リーグ最多安打。19年まで史上24位の通算3089安打を積み上げた。
米野球殿堂入りの発表は1月21日(日本時間22日)。こちらも初年度の当選が、確実視されている。
◆イチロー(本名・鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年(昭48)10月22日、愛知県生まれ。愛工大名電高では甲子園に2度出場。91年ドラフト4位でオリックス入団。94年にプロ野球史上初めてシーズン200安打に到達。00年まで7年連続首位打者。00年オフにポスティング制度でマリナーズ移籍。新人で首位打者、盗塁王とMVPに輝いた。04年に大リーグ新記録の262安打を放ち、2度目の首位打者。大リーグでは01~10年に史上初の10年連続200安打。ゴールドグラブ賞、球宴出場各10度。07年オールスターでは史上初のランニング本塁打を放ちMVP。12年7月にトレードでヤンキース移籍。15年にマーリンズ移籍。18年にはマリナーズに復帰し、シーズン途中でフロントに転身。19年3月に選手復帰し、東京ドームでのアスレチックス戦2試合に出て引退。マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターに就任した。現役時代は180センチ、79キロ。右投げ左打ち。