仙台育英の3選手が、今春から神宮を主戦場とする。主将を務めた湯浅桜翼(おうすけ)内野手は早大、武藤陽世投手は今春、明大へと進学。同リーグでこれからは敵として戦うが、お互いに対戦を心待ちにする東京6大学コンビ。ともに「大学日本代表」入りを誓った。佐々木広太郎投手(いずれも3年)は東都大学野球の中大に進学する。「日本一の投手」になり、4年後、ドラフト1位でのプロ入りを目指す。
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大学日本代表、その先にあるプロの世界を目標にする。湯浅は最大の課題であるフィジカル面の強化に重点を置く。「もっと体重と筋肉量を一緒に増やしていかないとプロでは通用しないので」。高校でのベスト体重は68~70キロ。だが、大学では筋肉量も増やし、73~75キロを目標にする。さらに「走攻守のバランスの良さが持ち味だと思うので、打撃も守備も世代を代表する選手になりたいです」と、長所もさらに磨きをかけていく。
早大を選んだきっかけは、23年夏の甲子園決勝だった。2連覇を阻まれた慶応(神奈川)の応援に鳥肌が立った。「あの時の応援がすごくて、いろんな動画を見るうちに『早慶戦』があることを知って、出たいと思いました」。さらに、1学年上には仙台育英でともにプレーした高橋煌稀投手や尾形樹人捕手らも在籍しており、心強い味方だ。高校で敗れた相手に、大学でリベンジするつもりだ。
明大に進む武藤は155キロ左腕に成長しての日本代表入りを目指す。4年間の目標として、現在の最速148キロを大きく上回る数字を設定。実現に向け、まずは筋肉量を増やし、土台づくりに励む。さらに「自分たちの代で果たせなかった日本一を取りたいです」と高校での悔しさを晴らす。
憧れ続けた東京6大学への進学に心を躍らせている。明大の練習参加で見た光景は想像以上だった。「イメージよりもずっとレベルが高かったので、あの環境でできることにワクワクしています」。仙台育英も掲げる「日本一激しいチーム内競争」は、武藤の目指す成長には必須。「激しいチーム内競争で自分の能力も上げられるので」と決め手のひとつに挙げた。
チームメートとの対戦も心待ちにする。対戦したい相手として真っ先に挙げたのは湯浅ら同級生だった。同じ悔しさを味わった仲間とは別々の道に進むが、神宮を舞台に、これからも切磋琢磨(せっさたくま)し合いながら、成長の歩みを止めない。【木村有優】
◆湯浅桜翼(ゆあさ・おうすけ)2006年(平18)5月28日生まれ、千葉県松戸市出身。4歳から野球を始め、小学では青山ベースボールアカデミー、越中島ブレーブスでプレー。駿台学園中(東京)では軟式野球部に所属。仙台育英では1年秋からベンチ入り。50メートル走は6・3秒。168センチ、73キロ。右投げ右打ち。好きな有名人はサンドウィッチマン。
◆武藤陽世(むとう・ようせい)2006年(平18)4月30日生まれ、宮城県仙台市出身。小学2年時に中野栄ウィンズで野球を始め、中野中では軟式野球部に所属。仙台育英では2年春に初のベンチ入り。最速148キロ。179センチ、80キロ。左投げ左打ち。好きな有名人は小芝風花。