ドギマギ初出勤! 現役ドラフトで巨人から加入した阪神畠世周投手(30)が11日、移籍後初めて鳴尾浜球場を訪れ、汗を流した。近大時代の16年以来、約9年ぶりの来場。入り口が分からず“迷子”になる珍ハプニングにも負けず、早速ブルペンでキャッチボールを行うなど準備は順調だ。虎の強力投手陣に新たな愛されキャラが加わった。
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さっそうと登場かと思いきや、キャリーケースを引いて右往左往。なんとか鳴尾浜の門をくぐった畠は安堵(あんど)の表情を浮かべた。「無事にたどり着きました」。初日からドタバタ出勤で周囲を和ませた。
午前9時過ぎにタクシーで球場到着。だが、関係者入り口ではなく、数十メートル離れた観客用入場門の前で降ろされた。閉ざされた門を前に「ここじゃないの?」。困惑していると、見知らぬファンから声をかけられた。「こっちちゃうで。まっすぐ行ったらある」。入り口を教えてもらい、キャリーケースを手に歩いて移動した。「タクシーで来て、あっち側(観客用入り口)に降りたんですよ。ファンの方に言われて、こっち側まで来ました」。早くも虎党から温かい歓迎を受け、思わず照れ笑いだ
練習を開始した後もウエートルームを探してキョロキョロ。バットを手に室内練習場に入ると、スイッチの場所が分からず電気をつけずに練習するなど、天然ぶり? を発揮した。インパクト十分の“初出勤”で、寒空の鳴尾浜に笑顔をもたらした。
実は人生2度目の来場だった。近大時代の16年に阪神2軍とのプロアマ交流戦に登板し、原口らと対戦。プロ入り後は宿敵巨人で数々の修羅場をくぐり抜け、何事にも動じないたくましさを手に入れて帰ってきた。「やっぱり雰囲気は違いますね。ホームになるって」。タテジマ入りを実感して気合十分だ。
投げる準備は笑いなしで順調に進めている。石井と初めてキャッチボールを行い「伸びが半端ないです」と衝撃を受けつつ、自身もブルペンの傾斜を使ってキャッチボールするなど、例年より早めの調整を続ける。「若干、気合入っちゃいましたけど。しっかり1月中に投げられる状態で入りたい」。藤川監督はすでに中継ぎ起用を明言している。早くも愛されキャラ全開の「虎の畠」。人気者になりそうな気配がプンプン漂う。【村松万里子】
◆畠世周(はたけ・せいしゅう)1994年(平6)5月31日生まれ、広島県出身。近大広島高福山では甲子園出場なし。近大では関西学生リーグで通算13勝。3年秋には3連続完封勝利。16年ドラフト2位で巨人入り。17年7月19日中日戦(ナゴヤドーム)で初勝利。23年3月に右肘クリーニング手術。24年は1軍で1試合、2軍では37試合で防御率1・41。ヤクルト田口は遠い親戚。186センチ、82キロ。右投げ左打ち。