<全国高校サッカー選手権:流通経済大柏1-0東海大相模>◇11日◇準決勝◇国立
東海大相模(神奈川)が強豪・流通経大柏(千葉)と1点勝負に持ちこんだが、一押し足りなかった。
前半のアクシデントも影響した。「驚異のロングスロワー」DF佐藤碧(3年)が前半20分頃に相手選手との接触で左膝を痛め、早々に途中交代となった。準々決勝までの3試合で40メートル級の弾丸のようなボールをゴール前にビュンビュンと投げ込み、相手に脅威となっていた。
この日も前半から快調に投げ込んでいただけに、有馬信二監督も「あの交代は大きかった」と悔やんだ。
その東海大相模にはもう1人、驚異のロングスロワーがいた。FW戸川昌也(2年)だった。後半10分から今大会初登場となると、佐藤碧の分もとばかりに剛腕から40メートル先のゴール前へ矢のようなボールを投げ込んだ。
実は前日の練習後、「いよいよ戸川を投入しようかと考えている。右から戸川、左から佐藤と両サイドから投げ込めば、流経さんもびっくるするでしょ」と秘策を口にしていた。
戸川は神奈川県大会2次予選3回戦の法政二高戦でロングスローを相手ゴール前に投げ込み、オウンゴールを誘発させ、その1点で1-0と勝利をもたらしていた。有馬監督はその試合のイメージをもとに、初の国立という舞台で流通経大柏という大物食いを本気で狙っていた。
それでも「相模らしさ」とするショートパスを少ないタッチでつなぎ、相手ゴール前へ持ちこむ攻撃を見せるなどし、「相手の強さは感じましたが、自分たちの良さも出せた。選手が成長しましたし、ここまで連れてきてくれたことに感謝したい」と有馬監督は笑顔でふりかえった。
夏のインターハイ3回戦で帝京長岡(新潟)に0-4と完敗した。指揮官が言う「成長」とは守備の部分が大きい。「ボールを保持することで守れてるでしょ、という意識だった。それがボールを奪いにいかないといけない、ボールを奪うことが守備だという意識がチーム全体に強まった」と明かす。強度の高い攻守ができるようになり、それがこの日の流通経大柏と1点勝負を演じることにつながった。
「ここまで来られたのはみんなが頑張ってきた結果なので、誇らしく胸を張って帰りたいなと思います」
佐藤碧は笑顔で、チームの思いを代弁した。【佐藤隆志】