必ずもう1度輝く! 阪神原口文仁内野手(32)が9日、優勝貢献の戦力になることを誓った。
国内FA権を行使して残留を決断。年始特番で共演した母校帝京の大先輩・とんねるず石橋貴明(63)から「藤川タイガースで頑張れ!」とエールももらい、特別な覚悟で25年シーズンに臨むと決意を新たにした。育成から支配下復帰、大腸がん克服、劇的サヨナラ安打…。タテジマで幾多のドラマをつくってきた背番号94が、MVP級の活躍を目指す。
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原口のひと言ひと言に熱がこもっていた。決意新たに迎えたプロ16年目。自主トレで訪れた甲子園で、揺るぎない覚悟を明かした。
「まずは本当に、やれる場所があるというのは幸せなこと。また1年のスタートなんでね。もちろん1試合1試合ですけど、チームに貢献できるように。いい1本だったり、優勝に向けて戦力になれるように。しっかり準備したい」
今オフ、国内FA権を行使。一塁に主砲大山がいる中、出場機会の増加を求めた宣言だった。それでも熟考を重ねた末、阪神残留を決断した。育成契約への転落や大腸がんも乗り越えた苦労人。育成経験者では球団初の4番も務めた。近年右の代打として準備を続け、3月に33歳を迎えるベテランは、もう1度輝くシーズンを目指す。
意気込みを後押しするエールもあった。母校帝京高出身の大先輩、とんねるず石橋貴明からだ。「藤川タイガースで頑張れ!」。愛情いっぱいの言葉をもらった。「本当後輩思いで、すごく帝京高校を愛している。それはひしひし伝わってくる感じがあります」。
テレビ朝日系列の年始特番「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」の「リアル野球BAN」で今年も共演。侍ジャパンメンバーをはじめ、そうそうたる選手が登場した中、貴重な発見もあった。特に印象深かったのがカブス鈴木誠也だった。「体つきがメジャー行ってからも1回り、2回り大きくなっている。近くで見られるのはすごく楽しみでもあるし、いい発見もある」。同じ右打者で共通項も多い。一流選手らに刺激を受けた原口は、7打数4安打3打点でMVPを獲得。新年から手にした幸先良い勲章を手に、シーズンでもMVP級の活躍を狙う。
1月中の自主トレは甲子園をメインに行う予定。徐々に強度を上げ、例年通りに体を仕上げていく。自分のペースを貫き、2月1日のキャンプインにベストな戦闘態勢に持っていく。
「(キャンプは)1軍だろうと2軍だろうと、まずはしっかり良い体の準備をすることは変わらない。しっかり準備していきたい」
FA残留し、これまでとは違う特別な思いを胸に臨む25年シーズン。代打の神様だけでは満足するつもりはない。スタメンで大活躍する高みを求め、必ず一旗揚げる。【波部俊之介】
<阪神原口の主な活躍>
◆支配下復帰(16年4月27日)09年ドラフト6位で阪神入団も腰痛の影響で12年オフに育成契約。4年ぶりに支配下登録された巨人戦で即日1軍昇格。ユニホームが間に合わず、山田2軍バッテリーコーチの背番号82を借りて左腕田口からプロ初安打を放った。
◆4番起用(16年7月31日)中日戦で「4番捕手」でスタメン。阪神の第97代4番で、球団捕手の先発4番は78年田淵幸一以来。育成経験者は球団初だった。
◆がんから復帰(19年6月4日)同年1月の大腸がん宣告と手術を経て約半年で1軍登録。敵地ロッテ戦の9回に代打で左越え適時二塁打を放つと、同9日日本ハム戦(甲子園)では代打でサヨナラ打。お立ち台では「ただいま!」と絶叫し、大歓声に包まれた。
◆優勝年チーム1号(23年4月2日)DeNAとの開幕第3戦の8回、代打でエスコバーから2ラン。第2次岡田政権1号で、同年は18年ぶりリーグ優勝と38年ぶり日本一を経験した。
◆4番弾(24年5月16日)がん手術から5年が経過した同年1月に「完治」を報告。中日戦で不振の大山に代わって6年ぶりに4番に座り、6回に根尾から3ラン。初回にも先制点をもたらし計4打点。自身初となる4番での打点と本塁打で9得点大勝に導いた。