新監督が恩師の教えを胸にスタートを切る。
東京6大学の明大の戸塚俊美監督(60)が8日、恩師のスタイルを受け継ぐ考えを示した。東京・府中のグラウンドで今年最初の練習後、理想の監督像について学生時代に指導を受けた名将・島岡吉郎監督(故人)の名を挙げた。新監督として臨む今季から「島岡さんのように一生懸命に取り組む子にはどこかでチャンスを与えたい。それが良い意味で競争意識につながると思う」と恩師から教わった経験を生かす。
83年4月に明大入学と同時に野球部に入部し、その時に指揮を執っていたのが島岡氏だった。当初はなかなか出場機会は得られなかったが、2年時にはレギュラーを奪取。夏場にグラウンドでノックを受け続ける姿から「守備の信頼を得られたんだと思う」と回想し、「一生懸命真面目に取り組んでくれる子にはチャンスをくれる。大学4年間にいろんな指導を受けながら、強烈に残っています」。厳しさの中にも愛のある恩師の教えが、監督就任した今も大きな学びにつながっている。
明大卒業後は社会人野球の神戸製鋼で12年間プレーし、同社でコーチ、監督を務めた。01年からは東京6大学リーグなどで審判も務めていた。昨季をもって勇退を表明した前監督の田中武宏氏をサポートする形で、20年2月から明大助監督に就任。助監督を5シーズン経験し、東京6大学野球連盟創設100周年となった今年から監督に昇格。「100周年を迎える時に明治大学の監督ができるのが感謝の気持ちです」とかみしめた。
この日の練習始めは、恒例の両翼ポール間走30本からスタート。白い息を吐きながら懸命に走る部員たちを見守り「しっかり動けていたんじゃないかな。良いスタートが切れた」と満足そうに語った。理想は「バッテリーを中心に守りを野球を確立し、粘り強いチームを目指してやっていきたい」で、チームの目標は4冠だ。島岡イズムを継承し、監督就任1年目を華やかに飾る。