<さよならプロ野球>
See you later! 今季限りで現役引退した元日本ハム加藤豪将氏(30)が日刊スポーツのインタビューに応じ、2年間在籍したチームと応援してもらったファイターズファンへの感謝の思いを語った。今後は古巣のブルージェイズでメジャー流のチーム運営、強化、指導法などを学びながらフロント業務を行う予定。野球人としてレベルアップし、将来的には北海道に戻って日本ハムへ恩返しする展望も明かした。
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今季終了後、加藤豪はじっくりと今後の身の振り方を考えた。「野球人として、どうやって自分をレベルアップできるかって考えた時に、僕は選手でやれることはもうやったかなと」。米国で10年、日本で2年。選手として野球を学ぶ期間を卒業することを決めた。
現役生活最後の2年間は夢のような時間だった。「アメリカ生まれアメリカ育ちでも実際に僕は日本人。いつかは日本に住んでみたいと思っていて、それが北海道日本ハムファイターズのプロ野球選手として住めるとは全然思っていなかった。自分の夢だったファイターズでプレーすることと日本で生活するのが重なって、こんなに幸せな2年間になるとは全然思っていなかった」と振り返った。
苦労もあった。「野球とベースボールは全然違うスポーツだと思っていた」。配球やストライクゾーン、チームとしての戦術などの違いに戸惑った。生活面でも「ゴミの分け方とか(笑い)。スーパーに行って、どこに何があるのか探すとか、そういう小さいストレスもあった。本当に、そういうところからでしたね」。今は笑い話にできるが、気苦労も多かった。
覚悟していた壁にぶつかりながらも乗り越えた先に感動もあった。「自分のヒットでベンチの選手や監督、スタンドのファンが笑顔になっていた。あのシーンは一生忘れない」。来日前は想像できなかった光景は、ずっと心に残っている。だから、球団やファンには感謝しかない。「まともに日本のことを知らない僕を受け入れてくれた。ファンの方はどんな時も自分を応援してくれた。こんな形でベースボールと野球の違いを勉強する機会をもらえる選手ってほとんどいないので、本当に幸せでした」と率直な気持ちを明かした。
そうした思いを引退会見という形で表明しなかった理由がある。「僕の中で、これは『さよなら』じゃなくて『See you later(またね)』。会見をすると、さよならになっちゃいますので」。将来的に日本ハムへ戻りたい意志の表れだった。
日本ハムからもフロント転身のオファーがあったが、あえてブルージェイズでフロント業務にまい進することを決めた。「まずはメジャーに行って勉強して、いずれはファイターズに恩返しできるといいなと思っている。どうにかファイターズの力になれるようになって帰ってきたい」。ファイターズ愛を胸に、新たな道を進んでいく。【木下大輔】
◆加藤豪将(かとう・ごうすけ)1994年(平6)10月8日生まれ、米カリフォルニア州出身。ランチョ・バーナード高から13年ドラフト2巡目(全体66位)でヤンキース入団。マーリンズ、パドレスを経て22年にブルージェイズでメジャー初出場。メッツを経て、同年のドラフト3位で日本ハム入団。23年5月に1軍デビューし、同31日ヤクルト戦で初本塁打。185センチ、88キロ。右投げ左打ち。