巨人が楽天から自由契約となった田中将大投手(36)の獲得調査に乗り出すことが15日、分かった。今オフ、セ・リーグ最多15勝の菅野智之投手(35)が海外FA権を行使しメジャー挑戦を表明。投手陣の精神的支柱を欠く来季に向け、経験、実績ともに十分の大投手に狙いを定めた。日米通算197勝を挙げているマー君の去就は、楽天を電撃退団してから今オフの国内プロ野球界最大の関心事項となっている。
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日米通算200勝へあと3勝と迫りながら来季の所属先が未定となっているスター獲りへ、球界の盟主が動き出した。巨人が“マー君獲得調査”を本格化させる。
米ハワイへ優勝旅行中の阿部監督も「マー君」こと田中将の能力、実績を高く評価している。08年北京五輪、09年、13年WBCでは侍ジャパンでともに戦った。「智之が抜けるとピッチャーのチームリーダーみたいな存在がいなくなる」と経験あるベテランの必要性を強調。その上で田中将について「実績があるから、やっぱりうちは若い投手が多いし、そういう面でも必要なのかなっていうのは。俺はたぶん(いいときの状態に)戻ると思う」と復活への期待感を口にした。
11月26日、楽天モバイルパークで取材に応じた田中将は「(楽天から来季の)オファーを頂いたという事実はあるが、個人的には実質、居場所がないんじゃないかと受け取った」と自由契約を申し入れた理由を説明。今月8日には、楽天との再契約について「それがあるならこういうことになってないし、悩んで悩んで、考えて考えて出した答えなんで、そこはないと思います」と強く否定し、他球団で現役続行を模索していくことを示唆していた。
昨季、右肘のクリーニング手術を行った影響もあってか、今季は状態が思うように上がらず2軍調整が続いた。1軍登板は5回4失点で敗戦投手に沈んだ9月28日オリックス戦の1試合のみ。だが、田中将本人は「体は元気です。とにかく自分のレベルアップのために引き続き、トレーニングを続けていくことが一番大事」と意欲的だった。
兵庫県伊丹市の軟式少年野球チーム「昆陽里タイガース」で捕手をしていた時代にバッテリーを組んでいた坂本との共闘となれば、ファンにとってもこの上ないドラマとなる。巨人OB会長の中畑清氏(70)も、この日のTBS系テレビ「サンデーモーニング」に出演し「最後もう1度、チャンスを与えるんであればジャイアンツが手を挙げて。『慎之助、獲ってくれ』。私が監督なら獲ってます」と、巨人入りへ熱烈なラブコールを送っていた。“巨人マー君誕生”のワードは控えめに言っても強烈なパワーがある。
◆巨人の先発投手陣 ともに開幕投手候補の戸郷、山崎伊が2大看板を務める。助っ人のグリフィン、売り出し中の井上まではローテ入りが濃厚。横川、赤星、平内、西舘、伊藤らが残りの枠を争うことになる。
◆田中将大(たなか・まさひろ)1988年(昭63)11月1日、兵庫県生まれ。駒大苫小牧2年夏に甲子園優勝。3年夏は斎藤(早実)と投げ合い決勝再試合の末、準優勝。06年高校生ドラフト1巡目で楽天入団。13年はプロ野球新記録の開幕24連勝をマークし、楽天を初の日本一に導いた。同年オフにポスティングシステムでヤンキース移籍。14~19年に日本人大リーガー最長の6年連続2桁勝利。21年楽天復帰。日米通算197勝(日本119勝、米国78勝)。188センチ、97キロ。右投げ右打ち。夫人はタレントの里田まい。