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【センバツ】「私立倒したい」久慈・宇部智也、中学全国準Vメンバーに声かけ21世紀枠候補入り


日本高野連は、第97回選抜高校野球大会の21世紀枠の地区候補9校を発表。久慈(岩手)は、文化と教育で知られる公立進学校であり、野球強豪校に挑戦する意欲を示す。地元出身選手たちが「勉強も野球も頑張る」精神で団結し、地域の期待を背に、新たな歴史を目指している。選手たちは、授業前や1日練習日に勉強時間を取り入れるなど、文武両道を実践。甲子園出場を目指し、1月の最終選出を待っています。

【イラスト】センバツ21世紀枠地区推薦校

日本高野連は13日、来春行われる第97回選抜高校野球大会(25年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠の地区候補9校を発表した。九州からは玄界灘に浮かぶ離島にある壱岐(長崎)が選出された。東北からはNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台から久慈(岩手)、関東の横浜清陵(神奈川)や近畿の山城(京都)とともに21世紀枠選出を目指す。年明け1月24日の選考委員会で9校が比較検討され、センバツ出場の2校が決定する。

   ◇   ◇   ◇

「私立を倒したい」。宇部智は花巻東や盛岡大付、一関学院など強豪が顔をそろえる岩手で、「久慈ナイン」として対抗するために立ち上がった。中学時代、久慈市近郊の中3による選抜チーム「久慈DREAMS」に所属し、全国大会準優勝に輝いた。そのメンバーたちに声をかけた。「1人の力だけじゃ勝てないので、みんなそろって入ることが大事なので、みんなと話しました」。18人中15人が同校へ進学し、新たな歴史を築いている。

甲子園へ大きく近づき、喜びを抑えきれなかった。午後3時過ぎ。練習を一時中断し、集められた選手たち。久慈OBでもある大畑伸悟監督(40)から「候補9校に選出された」と告げられた。宇部智は「みんながガッツポーズするほど本当にうれしくて。全国で9校に選ばれるなんてめったにないことだと思うので」と喜びをかみしめた。

「文武両道」を掲げる同校。卒業生の半数以上が国公立大学へ進学するなど、県内屈指の公立進学校だ。もちろん「野球だけ」というわけにはいかない。「勉強面にも隙があってはいけない」ときっぱり。授業前の時間を使い、選手同士で勉強を教え合う。1日練習の際には、メニューの一部として1時間の勉強時間を組み込むなど、進学校ならではの工夫を凝らしている。

地元出身者としての使命も全うするつもりだ。「自転車で登校していると、地域の方から『頑張れ!』と言ってもらえるので、期待に応えて、愛されるチームになりたいです」。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地としても知られる久慈市は、当時「あまちゃん」フィーバーで沸いた。次は久慈ナインの番だ。甲子園で「じぇじぇじぇ」旋風を巻き起こすためにも、まずは1月の吉報を信じて待つ。【木村有優】

◆久慈 1943年(昭18)創立の公立校。「文武両道」を掲げ、卒業生の半分以上は国公立大に進学する県内屈指の進学校。野球部は51年創部で、部員数は35人(マネジャー1人)。主な卒業生は柔道家の柏崎克彦や俳優の中屋敷哲也。甲子園出場は79年の夏に出場した1度のみ。岩手県久慈市畑田第26地割96。藤田知彦校長。

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