アビスパ福岡は13日、FC町田ゼルビアの金明輝(キム・ミョンヒ)ヘッドコーチ(HC=43)が、来季新監督に就任することを発表した。
クラブ公式サイトを通じて「このたびは、私の就任にあたり皆様をお騒がせしていることを大変申し訳なく思っております」と謝罪。その上で「今回のお話をいただき、私自身熟考の末強い覚悟と責任感を持って、決断いたしました。皆様に信頼していただけるように、言動やピッチで躍動する選手たちを見ていただけるように日々全力で取り組みます」とコメントした。
ただ、事は簡単ではない。事前に就任決定的と報道された際、福岡最大のサポーター団体「ウルトラオブリ」が公式ツイッターで「後任監督人事の報道について」と題して発信し、クラブに異例とも言える猛抗議を行っていた。
ツイッターを通じて「一部マスメディアにて報道されておりますアビスパ福岡の後任監督候補につきまして、我々ウルトラオブリはクラブに対して慎重な判断を求めます。現在報道されている監督人事に対しては疑問を抱かざるを得ません…」などと危惧し、指揮官人事白紙撤回を訴えた。サポーターの中には「ファンを辞める」「これまではなかった神経質な問題」などとネガティブな意見も噴出した。
金HCを巡っては21年12月、Jリーグから選手やスタッフへの行き過ぎたパワーハラスメント行為があったと認定され、翌22年1月にサガン鳥栖監督を契約解除されていた。
当時のJリーグ村井満チェアマンが「動機のいかんによらず、理由のいかんによらず、ハラスメント、暴言や暴力は一切許されないをJリーグとしては確認したいと思っております」と言及する騒動に発展し、九州サッカー界に大きな衝撃を与えていた。以来の復帰が鳥栖に近い隣県福岡となった。
厳罰を受け、指導者ライセンスがS級からA級に降格されたが、社会奉仕活動への参加などを経て22年から町田HCに就任。翌23年のJ1昇格に貢献し、今季も一時首位を走ったチームを支えた。その間、異例のS級ライセンス再取得。2年ぶりに監督資格を取り戻していた。
パワハラ解任歴への社会の風当たりは依然として強い。チーム強化の指導実績は申し分ないが、クラブの決断は批判・物議を醸しそうだ。