今季が3年契約の最終年だったヤクルト中村悠平捕手(34)が、「家族」のために戦うことを誓った。13日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、新たに3年総額4億5000万円で更改。昨オフ、夫人の愛美さんが乳がんを患った。より一層、責任感と覚悟を持って臨んだ今季だったが、チームは2年連続の5位に終わり、目標の優勝&日本一には届かなかった。
「野球をやらせてもらっているということにすごく感謝しながら、というのもありましたし、僕よりも確実に奥さんの方がつらいわけで、僕のこの野球の悩みなんて、彼女に比べたら、少しも、何て言うんですかね、苦しくないんだなと。むしろ、こんなことで悩めるなら、幸せなことだと思いながら、すごく日々、毎日試合をさせてもらいましたけど」と1年を振り返った。
保持していた国内フリーエージェント(FA)権の行使をギリギリまで悩んだが、生涯ヤクルトを誓った。「非常に迷いました。他の球団のキャッチャーがFAしている中で、自分がFAするとなると、本当のキャッチャーとしての自分の立ち位置というか、そういうのもわかるんじゃないかなと思って、すごく迷ったんですけど」と本音を明かした。「本当に宣言残留まで考えてっていうか、そこもお願いしますっていうふうに言ったんですけど、もうそれでも手だけはあげないでくれってすごく伝わったんで、そのあたりで話し合いもできたんじゃないかというのもあった」。
残留を後押ししたのは、妻の存在も大きかった。「いろいろ奥さんとはたくさん話し合いましたし、もちろん奥さんだけではなくいろんな方と話し合ったんですけど、やっぱり僕にとって家族っていうのはすごく大切な存在で。一番近くでいろんなこと、苦楽を共にしてきたんで、その中での奥さんの言葉っていうのは、勇気づけられたっていうのもあったし、すごく頼りになることもあったし、一緒に考えてくれたのは感謝してるんで、もちろん僕1人で考えたのではなくて、家族で、いろんな人と力を借りて結論に至ったっていうところはあります」とうなずいた。「『FAしてもいいんじゃない』ってストレートにも言われたんですけど、でもいろいろ話し合っている中で、子供もいるわけなんで、そういったところで『一緒にまた戦おうね』じゃないですけど、そういう感じで言ってくれました」と感謝した。(金額は推定)