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【阪神】ドラ1伊原陵人「生命線」制球力の秘密は幼少期の“遊び”に?原点となる野球との出会い


伊原陵人投手は奈良県出身で、幼少期から野球と触れ合って育った。2歳からボール遊びを始め、制球力の基礎を形成。家庭環境の影響もあり自然と野球に親しんだが、小学生時代には野球へのモチベーションが低下し、練習を休む期間もあった。やがて自主的に野球に取り組むようになり、才能を開花。小学生でポジションを様々に経験し、チームの中心選手となる。中学では野球人生の新たな挑戦を迎えることになる。彼の成長と挑戦の過程は、ドラフト1位指名を受けるまでの重要なステップとなった。

11月1日、NTT西日本対Honda NTT西日本先発の伊原

<陵(たか)みを目指して・連載1>

阪神は今秋ドラフトでNTT西日本の即戦力左腕、伊原陵人(たかと)投手(24=大商大)を1位指名しました。日刊スポーツでは伊原投手の幼少期からプロ入りまでの歩みを「陵(たか)みを目指して」と題し、連載でお届けします。第1回は「ピッチャー伊原」の原点となった幼少期、紆余(うよ)曲折の小学生時代を振り返ります。

   ◇   ◇   ◇

「陵」には丘や高い場所という意味がある。困難を乗り越え、どんな状況でも高みを目指してほしい。「志を高く持って、地に足をつけて自分の力で歩んでもらいたい」。そんな願いがこめられ、伊原陵人(たかと)は2000年(平12)8月7日、奈良・橿原市で誕生した。

野球との出会いは2歳の頃。自宅で紙を丸めてボールを手作りし、リビングの縁のあるテレビ台(テレビボード)を的に投げて遊んだことがきっかけだった。「縁に当たったらボール、入ったらストライクという感じでひたすら投げて遊んでました。(制球がいいのは)そのおかげかもしれないです」。伊原が投球の「生命線」と話す制球力の秘密は、幼少期の“遊び”にあったのかもしれない。

物心ついた頃には、周囲に野球があふれていた。父・伸(しん)さん(56)が巨人ファンだった影響で、自宅のテレビで巨人戦を見ることが日常だった。4歳上の兄拓人(ひろと)さんも野球経験者で投手だった。「兄についていくような感じで野球をしていました。すごく面倒見がよかったので、兄の背中を追いかけていた感じでした」。家族で甲子園に伝統の一戦を観戦しに行ったこともあった。「本当にすごい熱気であったり、人の多さや熱量を感じましたね」と回想した。

小学1年生になると晩成フレンズに入団し、本格的な野球を始めた。憧れの兄の後を追いかけて始めた野球は、思い描いた通りにはいかなかった。「2、3年生の時は数カ月間練習に行かなくなったりとかありましたね。『もう一切やりたくない』みたいな。練習がしんどかったらすぐに逃げていたので。そういう弱いところがあったと思います」。

練習にいかない時期は家にひきこもりがちだったというが、両親はとにかく見守った。「練習にいかない時期でも、親に怒られたり強制的に連れていかれたりということは一切なかった。見守ってくれる優しい親だったんだなと思います」。父伸さんは当時同チームのコーチを務めており、1人で練習に向かう日も少なくなかったという。伸さんは当時を振り返り「コーチの息子ということで、子供ながらにプレッシャーを感じながらやっていたような感じでしたし、『周りの友達は遊んでんのにな』とか思った時期もあったのかなとは思いますけどね」。心配な気持ちはもちろんあったが、息子を信じて見守った。

4年生になると“スイッチ”が入った。「突然(スイッチが)入ったんですよ。別に何かがきっかけでというわけではないんですけど。『よし、行こう』みたいな。本当に自分勝手でしたけど、チームが受け入れてくれてありがたかったです」。

ここから伊原の野球人生は加速していく。小学生でポジションを1通り経験した。左利きながら「目立てるから」との理由で、遊撃手を志願し任されるなど、一気にチームの中心選手となった。徐々に投手としての才能も芽生えはじめ、中学でのさらなる活躍が期待された。ここから右肩上がりの野球人生を送ると誰もが思ったが、中学入学後、再び野球人生の分岐点に立たされる。(つづく)【山崎健太】

◆伊原陵人(いはら・たかと)2000年(平12)8月7日生まれ、奈良県出身。八木中では軟式野球部に所属。智弁学園3年春に甲子園出場。大商大4年時に全日本大学選手権8強、神宮大会4強。。NTT西日本を経て、24年ドラフト1位で阪神の指名を受けた。契約金1億円、年俸1600万円、出来高は3000万円(金額は推定)。座右の銘は「負けられません、勝つまでは」「初志貫徹」。170センチ、77キロ。左投げ左打ち。

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