<We love baseball>
アナウンサー界のもってる男だ。ニッポン放送の大泉健斗アナウンサー(30)は今年、“3冠アナ”となった。
巨人のリーグ優勝、DeNAのCS優勝、そしてDeNAの日本シリーズ優勝を全て同局の中継番組「ニッポン放送ショウアップナイター」で実況した。「1回、優勝実況するだけでもかなりの確率。野球中継の神様がいるなら感謝しないといけないと思います」と興奮気味だった。
まさに天文学的確率だった。歴史的な瞬間を伝えたいと広告代理店をやめてアナウンサーに転職して8年目。競馬など多岐にわたる実況の中、9月にリーグ戦を実況したのは4試合。その中の1回が9月28日の広島対巨人(マツダスタジアム)だった。巨人がマジック1で迎え、阿部新監督の1年目での優勝を伝えた。
CSでも実況予定は第6戦のみ。直近で最終第6戦までもつれたのはセ・パ両リーグでも14年ソフトバンク対日本ハムの10年前までさかのぼる。9回までもつれる接戦の末、牧の決勝適時打で17年以来、7年ぶりに日本シリーズ進出。それも大泉アナが実況した。
日本シリーズでも強運に恵まれた。元々、第7戦での実況予定だったが、第6戦が21年ぶりに雨天中止。1日ズレた結果、日本一が決まった第6戦を担当することになった。そしてDeNA打線が爆発し、26年ぶりの日本一という歴史的瞬間に立ち会った。
CSも日本シリーズも実況は1試合ずつだけで、そのタイミングでことごとく優勝と重なった。長年務めていても、1度も優勝実況に恵まれないアナウンサーも珍しくない。その中での“3冠”の強運ぶりに、今では会社に出向く度に「もってるな!」「雨まで呼んだな!奇跡だね」と声をかけられる。
そんな奇跡を呼び込んだのも、圧倒的な熱量があったから。立大の野球部出身で、メジャーも含め野球が大好き。現場でも番記者を上回る熱量で取材し、時には記事も執筆する。もってる“3冠アナ”は「優勝実況をできるかどうかは自分の力ではどうにもならない。来年も周りの人たちに信頼を得て、リスナーの人たちに信頼してもらえるよう、取材をもっともっとたくさんして、野球の面白さを伝えていきます」と謙虚に誓った。【小早川宗一郎】