日本ハムのファンフェスティバルが11月30日、エスコンフィールドで行われ、フィナーレでは新庄剛志監督(52)が来季の「開幕投手」「開幕4番」「守護神」をサプライズで次々に発表した。4番に指名された野村佑希内野手(24)は、期待を感じるとともに、叱咤(しった)とも受け取り、不本意だった今季の悔しさを、4番としてスタートする25年シーズンにぶつけることを誓った。
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戸惑い、うれしさ、複雑な感情を抱きながら、それでも野村はファンへ約束した。「来年は圧倒的な活躍をして日本一になります」。新庄監督からのサプライズ指名を受けて立ったマイクの前で、きっぱりと言った。
今季はわずか56試合の出場で打率2割1分、2本塁打。北海道が盛り上がったクライマックス・シリーズも蚊帳の外だった。指揮官が「開幕4番」の発表を始めても「マンチュー(万波)もそうですし、ジェッシー(水谷)とか…」。自身の名前が呼ばれるとは、正直思えなかった。だからこそ、感じるものはある。「期待もそうですし、『やらなきゃいけない』っていうか、『気を引き締めて結果出せよ』って言われてる」と受け取った。
入団当初から近未来の4番候補と言われながら、ポジションをつかめないでいる。エスコンフィールド開業の23年にも開幕4番を託されたが、3打数無安打でチームも敗れ、その年も最下位に沈んだ。CSに進んだ今季は、万波、田宮、水野ら同世代の活躍を外から見ることしかできなかった。同時に発表された開幕投手も同世代の金村。「(今年)一緒に戦いたいなとずっと思ってた。スタートからそのチャンスをいただけるということなので、しっかり援護できるように頑張りたい」。これまでの悔しさを、すべてぶつける。
新庄監督から「野村」の名前が出た瞬間、スタンドは大歓声に包まれた。その響きは、野村の胸を打った。「もう裏切れない」。9年ぶり日本一の瞬間に打線の中心にいることが、最大の恩返しになる。【本間翼】