阪神近本光司外野手(30)が目を細め、ほおを緩めた。「うれしかったですね」。この日の昼、FA残留を決意した大山から直接電話をもらった。「またタイガースで優勝したいねとは言っていたので、また来年できるように一緒に頑張ろうという話をしました」。6年間ともに戦ってきた仲間の決断を喜んだ。
前日28日には選手会納会で会話を交わした。「最近どうしてんの? ぐらいです」。悩み抜く大山の胸中を察していた。残留の発表を受け、「いろんなストレスがあったと思いますし、本人もすごくつらいと思うので。本当に決まってよかったなと思います」と素直な思いを語った。
大山も会見で、前日の選手会納会で多くの選手やスタッフと会話し、心境の変化があったことを明かした。近本は、大山が悩み抜きながら、周囲に気を配る様子が印象に残った。「若い子たちにもすごいコミュニケーション取ってますし、昨日(28日)もよくしゃべってるなというのを見ていた。先輩からも頼られるし、僕らも頼れますし、後輩からも頼れる存在」。入団年こそ近本が大山の2年後だが、学年は同じ。背番号3の存在はチームに大きな影響を与えることを強く感じている。
7年目を迎える来季は自身も、順調なら国内FA権の要件を満たす。「まだ取ってないことですし、何も言うことはないかなと。言えることもないです」とまずはV奪還が第一だ。「プレーで引っ張っていくことが大事。自分のできることをしっかりとやりたいなと思います」。頼れるリードオフマンが来季も大山とともにチームを引っ張る。【村松万里子】