“侍のドクターK”が、大幅昇給を勝ち取った。楽天藤平尚真投手(26)が29日、仙台市内の球団事務所で契約交渉に臨み、2550万円増の年俸4000万円で更改した。8年目の今季、先発から中継ぎに転向して47試合に登板。勝ちパターンの一角を担い、0勝1敗、1セーブ、20ホールド、防御率1・75の好成績を残した。侍ジャパンにも初選出され、プレミア12では奪三振ショーを演じて存在感を示した。来季は50試合登板を掲げ、則本、鈴木翔らと守護神の座を争う。
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金色のネクタイでびしっと決めた藤平の明るい表情が、1年の充実感を物語っていた。「本当に満足いく契約をしてもらえた」。2550万円増の年俸4000万円で更改。今オフの昇給額は酒居の2400万円増がトップだったが、それを上回る金額で、チーム1の“出世頭”となった。
崖っぷちに立たされていた。16年ドラフト1位で横浜(神奈川)から入団。若手の先発候補として大きな期待をかけられたが、昨季までのプロ7年で、わずか10勝にとどまっていた。「本当にここでしっかりやらないと、いよいよ野球人生が本当に終わっちゃうかもしれない」。不退転の覚悟で今季から中継ぎに転向し、結果で応えてみせた。
最速156キロの直球とフォークを武器に勝ちパターンを担い、チームを何度も救ってきた。守護神・則本が27日の契約更改の場で、藤平と鈴木翔を、来季、抑えのポジションを争うライバルに挙げた。「ノリさん(則本)に後ろを競うメンバーとして僕と(鈴木)翔天さんを挙げてもらって、僕は本当にうれしい。そういうチャンスがあるなら僕も狙っていきたい」と、受けて立つ構えだ。
今秋は侍ジャパンに初選出され、プレミア12を戦った。6試合で、6回を無失点、12奪三振と堂々たる投球を見せた。他球団の選手との交流も刺激的で「大勢は、ほんとに楽天では見たことのないようなメンタルの強さをしている」と学びも多かった。同大会を、“ラスト侍”にするつもりはない。26年のWBCにも意欲を示し「次こそは世界一を目指したい」。再び日の丸を背負うため、結果を残し続ける。【山田愛斗】