楽天辰己涼介外野手(27)が28日、都内で行われた「三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式に「ゴールデン・コーデ」で登場した。スパンコールを使用した金色の上下のスーツに顔面と髪の毛、耳の穴まで1時間かけて金色に染め上げた。会場には妻のセリーナさんと、辰己と同じく上下金色の衣装に身を包んだ2歳の長男も訪れ、守備の名手に贈られる4年連続4度目の栄冠を「ゴールド」で埋め尽くした。
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辰己がまた想像を超えた。入場の瞬間、光を反射する黄金スーツが目を引いたが、顔面と髪の毛まで染まっていた。周囲の視線にも「テーマは三井ゴールデン・グラブ賞。吐いた言葉は責任もってやるのが僕の流儀」と、輝く真顔で言い切った。22年に金色のジャケットで登場し「来年(23年)は上下ゴールデンで」と宣言。だが、23年は「本当に金で来たらおもんない」と上下純白の「新郎コーデ」で仰天させていた。
「表彰式」への思いがある。「式典が少しでも盛り上がったらいいなって。ちょっと堅苦しい印象があるので、楽しかったらいいんじゃないかなって思ったんですけど」。26日のNPBアワードでは、19世紀イギリス・ロンドンの有名な連続殺人鬼「切り裂きジャック」など3パターンを披露。常識を覆し続けるその姿は周囲の期待感を高め、会場を盛り上げていた。
メークには1時間を要した。妻のセリーナさんと長男の前で準備。制作途中の顔で妻に「僕と結婚してよかったですか?」と尋ねると、「こうなることはわかっていた」。懐の深さに「本当に奥さんに恵まれたなと思います」と深く感謝した。愛息にも「意外とこの格好をしてても『チュッチュ』してくれる」と父親の顔も見せた。
今季の受賞は「守備の神様が見ててくれた」とつぶやいた。シーズン後もプレミア12で奮闘。プレーはもちろん、死球後に「診断は骨が折れてるって出たけど痛みは特にないです」と真顔で謎の骨折宣言をするなど、らしさ全開で沸かせた。「金色になることだけ考えてた。来季のことは一切考えてないです」と、ようやく一息。辰己が長いシーズンを誰よりも長く、全力で駆け抜けた。【黒須亮】