<阪神タイガースファン感謝デー2024>◇23日◇甲子園
国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神大山悠輔内野手(29)が虎党からの熱い“残留ラブコール”に感謝した。阪神と巨人による争奪戦が続く中、23日は甲子園で開催された「阪神タイガースファン感謝デー2024」に出席。登場のたびに3万8500人から大歓声が起き、最後は盛大な大山コールも起こった。同じく同権を行使した原口文仁内野手(32)にもコールが降り注いだ。決断のタイミングが少しずつ近づく中、虎党の思いは2人にどう届いたか-。
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甲子園のグラウンドは盛大なコールの余韻でざわついていた。
一塁側のベンチ裏。喧騒(けんそう)を背にした大山は、いつもの試合後とは違い、穏やかな表情で引き揚げてきた。
「楽しかったです。よかったです」
プログラム最後の場内1周。「大山悠輔」と書かれた真っ赤なタオルがいくつも目に入った。スタンドに何度も何度も手を振り、頭も少し下げながら、笑顔で声援に応えた。去り際、一塁側席や外野席から大山コールが自然発生した。次第に声は1つになった。叫ぶような「残ってくれ!」の声も飛んだ。コールは聞こえたか? そう問われた背番号3は「そうですね。(ありがたいのは)はい、それはもちろんです」と短い言葉に感謝の意を込めた。
ファン感謝デーへの出席は自ら選んだ。大注目の中でFA宣言し、阪神と巨人が歴史的な争奪戦を繰り広げている状況。欠席という選択肢もあったが、1年間応援してくれたファンに感謝を伝える場、という認識は変わらなかった。
朝から無数の人と触れ合った。昼過ぎ、最初にグラウンドに現れると誰よりも大きな歓声が上がった。自身も存分に楽しんだ。ドッジボールでは真剣に逃げ回った。「相席食堂オールスターズ」とのエキシビションマッチでは「4番一塁」で先発フル出場。慣れない軟式球で左飛失策、一飛に倒れた。芸人らを相手に屈辱の? 敗戦となったが、終始笑顔が絶えなかった。
藤川監督は場内あいさつで「人生の岐路を迎える人もいる」と話した。まもなく30歳になる阪神の主砲にも確実に決断の時が近づいている。残留を熱望する阪神は5年前後の大型契約を用意しているもよう。一方の巨人も虎と同等以上の破格条件を用意し、交渉に入っているとみられる。残留か、移籍か。今後も引き続き熟考を続ける中、少なくとも虎党の熱意が心に響いたのは間違いなさそうだ。